心不全のサインを見逃さない|息切れ・むくみ・急な体重増加は「歳のせい」ではないかも
心不全のサインを見逃さない|息切れ・むくみ・急な体重増加は「歳のせい」ではないかも
「階段や坂道で、以前より息が切れる」「夕方になると靴下の跡がくっきり残る」「なんとなく疲れやすく、食欲もない」――こうした変化は、年齢のせいにされがちです。けれど、その裏に心臓の病気が隠れていることがあります。
心不全とは、ひとつの病名ではなく、心臓のポンプの働きが低下して、全身に血液を十分に送れなくなった状態を指します。日本循環器学会と日本心不全学会は一般向けに、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています。厳しい表現ですが、裏を返せば、早く気づいて治療を始めるほど、進行を抑えられる病気だということです。
この記事では、(1)心不全の代表的なサイン、(2)「歳のせい」との見分け方、(3)外来でできる検査と治療を、順にご説明します。
とくに高齢の方では、典型的な息切れが目立たず、「なんとなく元気がない」「食が細くなった」だけのこともあります。ご家族から見た「最近ちょっと変わった」が、大切な手がかりになります。
加齢による体力低下は、ゆっくり進み、日によって大きく変わりません。一方、心不全のサインには次の特徴があります。
ひとつでも当てはまる場合は、「歳のせい」と決めつけず、一度心臓の評価を受けてみてください。心不全の背景には、高血圧・心筋梗塞・弁膜症・不整脈・糖尿病などがあり、原因によって治療が異なります。
心不全の評価は、大がかりな検査から始まるわけではありません。当院ではまず外来で次を行います。
治療は近年大きく進歩しており、心臓を保護する薬を組み合わせることで、入院を減らし生活の質を保つことを目指せるようになっています。あわせて、毎日の体重測定(同じ条件で測り、急な増加に早く気づく)と塩分の管理が、ご自宅でできる最も重要な治療です。
通院が難しくなった方には、訪問診療での管理も行っています。心不全は「悪くなってから病院へ」をくり返すと弱っていきやすい病気です。悪くなる前に気づける体制を、外来と在宅の両方でご用意しています。
心電図が正常でも心不全は否定できません。症状(息切れ・むくみ・体重増加)がある場合は、レントゲンやBNPなどを組み合わせた評価をおすすめします。
健康な方では、飲んだ水分は腎臓が調整するため、むくみの主因にはなりにくいです。持続するむくみには、心臓・腎臓・肝臓・甲状腺・薬の影響など評価すべき原因があります。自己判断で水分を極端に制限するのは危険なこともあるため、まず原因を調べましょう。
状態によります。安定している心不全では、適切な強さの運動がむしろ予後を改善することが知られています。自己判断ではなく、診察のうえで「どのくらい動いてよいか」を一緒に決めていきます。
息切れ・むくみ・急な体重増加。この3つがそろう前に、レントゲンと採血一本で見当をつけられます。心臓の備えは、そこから始まります。
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。強い息苦しさ・胸の痛みが突然現れた場合は、ためらわず救急要請してください。
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