高尿酸血症・痛風

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高尿酸血症・痛風

高尿酸血症・痛風


「尿酸値が高いけど、痛風はないし…」

健診で「尿酸値が高い」と言われても、痛風の発作が出ていないと、つい放置してしまう方が多い項目です。「お酒とビールを控えればいいんでしょう?」と思われるかもしれません。

たしかに尿酸でいちばん有名なのは痛風(足の親指などの激しい関節の痛み)ですが、高尿酸血症は痛風だけの問題ではありません。このコラムでは、尿酸が高いとなぜよくないのか、いつ薬を始めるべきか、そして最近の話題までをお伝えします。

高尿酸血症とは?

尿酸は、体の中で「プリン体」が分解されてできる老廃物です。血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と呼びます(男女共通)。

尿酸がたまる理由は大きく2つで、

  • 作りすぎる型(尿酸を多く作ってしまう)
  • 出ていきにくい型(腎臓などからの排泄が少ない)

があり、日本人は「出ていきにくい型」が約6割と多いのが特徴です。後で触れるように、どちらの型かでお薬の選び方が変わります

尿酸が高い状態が続くと、針のような結晶になって関節にたまり、痛風発作を起こします。また尿路結石(腎臓・尿管の石)の原因にもなります。

痛風だけの問題ではありません

高尿酸血症は、腎臓・生活習慣病・心血管の病気としばしば一緒に見つかります。

  • 腎臓:尿酸が腎臓にたまって働きを低下させることがあります(痛風腎)。慢性腎臓病とも関係します。
  • 尿路結石:再発をくり返す方もいます。
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満:これらと重なって見つかることが多く、心筋梗塞・脳卒中のリスクとも関連が指摘されています。

ただし注意したいのは、「尿酸を薬で下げれば、これらの病気もすべて予防できる」とまでは証明されていない部分もあること。だからこそ、尿酸の数値だけを見るのではなく、あなた全体のリスクで考えることが大切です。

痛風発作が起きたときは?

発作のときは、まず炎症と痛みを抑えるのが最優先です。コルヒチン(少量)、痛み止め(NSAIDs)、ステロイドなどを使います。

ここで知っておいていただきたい、最近の考え方の変化が2つあります。

  • すでに尿酸を下げる薬を飲んでいる方は、発作中でも中断しないのが原則です(急にやめると、かえって発作が長引くことがあります)。
  • 以前は「発作が治まってから尿酸の薬を始める」のが一般的でしたが、最近は炎症を抑える薬を併用すれば、発作中でも尿酸の薬を始めてよいと考えられるようになりました。痛い思いをした“やる気のあるうち”に治療を始められる、という利点があります。

尿酸を下げる治療 —「6.0未満」を目標に、少しずつ

尿酸を下げる治療の目標は、血清尿酸値6.0mg/dL未満です。痛風をくり返す方や痛風結節(こぶ)がある方では、結晶を溶かして再発を防ぐために、この値までしっかり下げます。

お薬は少量から始めて、検査を見ながら段階的に増やすのが基本です(急に下げると、かえって発作を誘発することがあるため、最初の数か月は炎症止めを予防的に併用することもあります)。

尿酸を下げる薬には大きく2タイプあり、

  • 作りすぎる型には、尿酸が作られるのを抑える薬、
  • 出ていきにくい型には、尿酸の排泄を促す薬、

を、体質(病型)・腎機能・持病に合わせて選びます。最近は、腎機能が低下した方にも使いやすい新しいタイプ(ドチヌラドなど)も登場しています。

いつ薬を始める? 痛風がなくても下げるべき?

ここは日米で意見が分かれているところです。

痛風発作をくり返す方・痛風結節がある方・尿路結石がある方は、尿酸を下げる治療が勧められます。これは世界共通です。

意見が分かれるのは、痛風が出ていない「無症候性高尿酸血症」の扱いです。

  • 欧米は比較的慎重で、「痛風が出ていなければ、基本的に薬は使わない」という立場です。
  • 日本のガイドラインは、もう少し早めに介入します。ほかに病気のない方で尿酸9.0以上、高血圧・糖尿病・腎臓病などがある方で8.0以上なら、薬で下げることを検討します。

つまり日本では、合併症を意識してやや早めに尿酸を管理する考え方です。ただし、いずれの場合もまずは生活改善が基本で、薬を使うかどうかは一人ひとりのリスクをみて判断します(参考: 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」)。

最近の話題

① 糖尿病の薬(SGLT2阻害薬)が、尿酸も下げる

もともと糖尿病・腎臓・心臓を守る薬として使われているSGLT2阻害薬には、尿酸を下げる働きがあることがわかってきました。尿酸の治療薬としてガイドラインに正式に位置づけられているわけではありませんが、糖尿病・腎臓病・心不全などの持病がある方では、これらの治療をしながら尿酸対策にもつながる、という“一石二鳥”が期待できます。持病に応じて選択肢になり得ます。

② 新しい尿酸の薬・新しいアプローチ

腎機能が低下した方にも使いやすい新しい排泄促進薬などが登場しています。さらに、難治例向けの治療や、腸内細菌に着目した方法など、研究が進んでいる段階の新しいアプローチもあります(※研究・開発段階のものを含み、当院で実施しているという意味ではありません)。

生活でできること

お薬の有無にかかわらず、生活習慣の見直しは大切です。

  • アルコールは全般に尿酸を上げます。ビールはプリン体も多いですが、蒸留酒でも飲みすぎれば尿酸は上がります。「ビールでなければ大丈夫」ではありません。
  • プリン体の多い食品(レバーなどの内臓、魚卵、干物、白子など)はほどほどに。
  • 甘い飲み物(果糖)は尿酸を上げます。ジュースや清涼飲料の取りすぎに注意。
  • 肥満の改善は尿酸を下げます。
  • 水分をしっかりとることは、尿路結石の予防に役立ちます。

ただし、脂質やコレステロールと同じで、生活改善だけで下がる幅には限りがあります。リスクの高い方は、無理な制限で消耗するより、必要なら薬で確実に下げるほうが体を守れることもあります。「生活改善+必要な薬」の組み合わせが基本です。

当院の考え方 — 尿酸の数値だけでなく、持病も含めて

当院では、

  • 尿酸の数値だけでなく、痛風の有無、腎臓の状態、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの持病を踏まえて、
  • 痛風発作の対応から、長期の尿酸コントロール、生活指導までを、
  • その方のリスクに合わせて一緒に進めていきます。

「痛風はないけど尿酸が高い」「お酒は減らせない」——どんな段階でもご相談ください。お薬全体を見直す視点も大切にしています(参考: 予防医療について / 高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)の見直し)。

よくあるご質問

Q. 痛風がなければ、尿酸が高くても放っておいていい?

必ずしもそうではありません。尿酸が特に高い方や、腎臓・生活習慣病などの持病がある方では、痛風がなくても治療を検討します。まずはご相談ください。

Q. ビールをやめれば薬はいらない?

アルコールはビール以外でも尿酸を上げます。生活改善は大切ですが、それだけで十分下がらないこともあり、その場合はお薬を併用します。

Q. 発作中ですが、尿酸の薬を始めても大丈夫?

最近は、炎症を抑える薬を併用すれば、発作中でも始めてよいと考えられています。すでに飲んでいる方は、自己判断で中断しないでください。

Q. 一度始めたら一生やめられないの?

体質や生活、持病によります。生活改善で調整できる場合もありますが、自己判断での中止は発作のもとになるため、ご相談ください。



著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状や検査結果がある場合は受診をご検討ください。

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