ワクチン・予防接種
ワクチン・予防接種
「50歳を過ぎたら帯状疱疹のワクチンを打ったほうがいいと聞いた」「娘のHPVワクチン、男の子も無料になったと聞いたけれど」「今年もインフルエンザの予約はいつから?」――当院では、大人とご家族に必要性の高い帯状疱疹・HPV・インフルエンザの3つを中心に、肺炎球菌・新型コロナなど高齢者の定期接種、お子さんの定期接種にも対応しています。年齢・基礎疾患・接種歴・足立区の助成制度をふまえて、お一人おひとりに必要なワクチンをご提案します。
※ワクチンの在庫状況により取り寄せになることがあります。お急ぎの場合はお電話(03-3840-4146)でご確認ください。予防接種は病気の治療ではないため健康保険は使えず、定期接種・助成の対象外の方は自費(自由診療)になります。各ワクチンの費用(税込・総額)と主な副反応は、それぞれの項目に記載しています。
インフルエンザは例年12月〜3月に流行し、高熱・頭痛・関節痛・だるさ・咳を急に引き起こします。高齢の方、妊娠中の方、心臓病・糖尿病・呼吸器疾患などの持病がある方、小さなお子さんでは肺炎などの合併症で重症化しやすくなります。ワクチンの効果は「かからなくなる」ことではなく、発症と重症化を減らすことです。効果が出るまでに2週間ほどかかるため、12月中旬までに接種を終えることがすすめられています。当院では10月から接種を始めます。
今シーズンの流行状況、注射と点鼻(フルミスト)の選び方、区の予診票の使い方、主な副反応、ウェブ予約は、インフルエンザ予防接種の専用ページで詳しくご案内しています。
帯状疱疹は、子どものころにかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが神経に潜み、加齢やストレス、過労による免疫の低下をきっかけに再び活動して起こる病気です。体の片側にピリピリとした痛みが出た後、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れます。発症は50歳代から増えて70歳代がピークで、80歳までに約3人に1人がかかると推定されています。つらいのは発疹が治った後に痛みだけが残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」で、高齢になるほど起こりやすくなります。
予防には2種類のワクチンがあります。生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)は1回の接種で済み費用を抑えられますが、免疫抑制剤や一部の抗がん剤を使っている方、妊娠中の方には使えません。不活化ワクチン(シングリックス)は2か月以上あけて2回接種します。予防効果が高く持続も長い一方、接種部位の痛みやだるさ・発熱などの副反応は生ワクチンより多く出ます。いずれも50歳以上の方に推奨され、健康な方でも予防目的で接種できます。過去に帯状疱疹や水ぼうそうにかかった方でも、加齢で免疫が下がるため接種をおすすめします。
| 生ワクチン 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」 |
不活化ワクチン シングリックス |
|
|---|---|---|
| 接種方法 | 1回、皮下注射 | 2回(2か月以上あけて)、筋肉注射 |
| 帯状疱疹の予防効果(臨床試験) | 約51%(60歳以上、約3年の追跡)※1 | 約97%(50歳以上)※2/約90%(70歳以上)※3 |
| 帯状疱疹後神経痛の予防効果 | 約67% ※1 | 約89%(70歳以上)※3 |
| 副反応 | 接種部位の反応が主で、多くは軽い ※1 | 接種部位や全身の反応が約8割に出る。強い反応は約17%。多くは1〜3日で回復 ※2※3 |
| 効果の持続 | 年数とともに下がる | 接種後およそ10年でも高い効果 ※4 |
| 接種できない方 | 妊娠中の方・免疫不全の方 | 自己免疫疾患・移植後の方は主治医に相談 |
| 費用(税込) | 約8,800円×1回=総額 約8,800円 | 約22,000円×2回=総額 約44,000円 |
| 足立区の助成後の目安(50〜64歳) | 約3,800円(5,000円の助成) | 約24,000円(10,000円×2回の助成) |
※1 Oxman MN, et al. N Engl J Med 2005;352(22):2271-2284(PMID 15930418) ※2 Lal H, et al. N Engl J Med 2015;372(22):2087-2096(PMID 25916341) ※3 Cunningham AL, et al. N Engl J Med 2016;375(11):1019-1032(PMID 27626517) ※4 Strezova A, et al. Open Forum Infect Dis 2022;9(10):ofac485(PMID 36299530)。費用は2026年8月時点の当院の料金です。
※対象年齢の方には区から案内が届きます。予診票をお持ちのうえご予約ください。
帯状疱疹ワクチンをもっと詳しく
2種類のワクチンの効果と副反応のデータ、足立区の助成の使い方、さらに近年報告されている認知症・腎機能・心血管への副次的な効果まで、院長が解説しています。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、子宮頸がんの主な原因となるウイルスです。主に性的な接触で感染するため、性交渉を経験する前の接種がもっとも効果的とされています。子宮頸がんは20〜40代の女性に多く、出産や育児の時期と重なります。HPVは子宮頸がんだけでなく、肛門がん・中咽頭がん・陰茎がん・尖圭コンジローマなど男性にも起こる病気の原因になるため、男性の接種にも意味があります。2013年から控えられていた積極的な接種のおすすめは、2022年4月に再開されています。
対象年齢を過ぎた女性・男性も、自費で接種できます。シルガード9は15歳以上では3回接種(0・2・6か月)で、費用(税込)は1回 25,000円、3回で総額 75,000円です(15歳になる前に1回目を受けた場合は2回・総額50,000円)。HPVワクチンは、すでに感染しているHPVを排除したり、できてしまった病変を治したりする効果はありません。接種後も子宮頸がん検診は必要です。主な副反応は接種部位の痛み・腫れ・赤みで、発熱や頭痛が出ることもあります。まれに接種直後の失神(緊張や痛みによるもの)が報告されているため、接種後30分は院内で座ってお休みいただきます。
お子さんのHPVワクチンで迷っている方へ
足立区での受け方と接種スケジュール、副反応、「積極的勧奨の差し控え」のその後まで、女の子向け・男の子向けに分けて詳しく解説しています。
肺炎球菌は、大人の肺炎の原因としてもっとも多い細菌で、高齢の方では重症化しやすく、肺炎だけでなく敗血症や髄膜炎を起こすことがあります。65歳の方(および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能に障がいのある方)は定期接種の対象で、足立区では無料です。2026年4月からは、定期接種に使うワクチンが20価結合型ワクチン(プレベナー20)に変わりました。区から届く予診票をお持ちください。主な副反応は接種部位の痛み・腫れ・赤み、筋肉痛、だるさなどで、多くは数日で治まります。
65歳以上の方(および60〜64歳で上記の障がいのある方)は、毎年秋冬に定期接種を受けられます。足立区の令和8年度の実施期間は令和8年10月1日〜令和9年3月31日で、自己負担は無料です。インフルエンザワクチンと同じ日に接種することもできます。主な副反応は接種部位の痛み、発熱、だるさ、頭痛などで、多くは数日で治まります。
※65歳以上の方へ:インフルエンザ・新型コロナ(毎年)、肺炎球菌(65歳のとき)、帯状疱疹(65歳と節目の年齢)の4つを、通院のついでに計画的に受けていただけます。診察のときにお声がけください。
ご自身の年代で検討したいワクチンの目安です。実際の必要性は接種歴・抗体価・基礎疾患によって変わりますので、来院時にご相談ください。凡例:優先して確認=接種歴・抗体価をぜひ確認したいもの/状況に応じて=環境・予定に該当する方に検討いただくもの
※海外渡航・留学・長期出張の方は、渡航先別の推奨ワクチン・料金表と、当院で接種できるワクチンの一覧をトラベルワクチンのページにまとめています。
定期接種・足立区の助成の対象になる方は、それぞれの項目に書いたとおり無料または助成が受けられます。対象にならない方は自費(自由診療)です。当院で接種できる主なワクチンの費用は次のとおりです(すべて税込・2026年8月時点)。
| ワクチン | 1回あたり | 回数 | 総額 |
|---|---|---|---|
| インフルエンザ | 3,500円 | 1回(13歳未満は2回) | 3,500円(13歳未満は7,000円) |
| 帯状疱疹(生ワクチン・ビケン) | 約8,800円 | 1回 | 約8,800円 |
| 帯状疱疹(シングリックス) | 約22,000円 | 2回 | 約44,000円 |
| HPV(シルガード9) | 25,000円 | 3回(15歳未満で開始は2回) | 75,000円(2回の場合は50,000円) |
| おたふくかぜ(ムンプス) | 5,500円 | 1〜2回 | 5,500〜11,000円 |
| 破傷風トキソイド | 2,000円 | 1回(追加接種) | 2,000円 |
主な副反応は、いずれのワクチンも接種部位の痛み・赤み・腫れで、発熱やだるさが出ることもあります。多くは数日で治まります。生ワクチン(おたふくかぜ・帯状疱疹の生ワクチンなど)は、妊娠中の方や免疫が低下している方には接種できません。まれに強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることがあるため、接種後は院内で体調を確認します。
MR(麻しん風しん)・三種混合・A型/B型肝炎・日本脳炎・不活化ポリオ・髄膜炎菌・狂犬病・腸チフスなど、渡航や職業で必要になるワクチンの費用は「トラベルワクチン」のページの価格表に掲載しています。表にないワクチンの取り扱いは、お電話(03-3840-4146)でお問い合わせください。
乳幼児期の定期接種(ヒブ、小児用肺炎球菌、五種混合、MR第1期など)にも対応しています。ふだんは小児科にかかっているお子さんでも、ご家族の受診にあわせて接種できますので、母子手帳をお持ちのうえご相談ください。接種スケジュールは、NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」の予防接種スケジュールも参考になります。足立区の定期接種は、区から届く予診票をお持ちいただければ無料です。
はい。インフルエンザと新型コロナは同じ日に接種できます。帯状疱疹の不活化ワクチン(シングリックス)もほかのワクチンとの間隔に制限はありません。生ワクチン(ビケン)だけは、ほかの注射の生ワクチンと27日以上あける必要があります。組み合わせは診察時にご相談ください。
Web予約またはお電話でご予約ください。在庫の関係で取り寄せになるワクチンがあるため、帯状疱疹・HPV・肺炎球菌などはとくに事前のご予約をおすすめします。インフルエンザは流行期に混み合いますので、10月〜11月の早めのご予約をおすすめします。
予防接種は病気の治療ではないため、健康保険は使えません。定期接種の対象の方は区の制度で無料または助成が受けられ、それ以外の方は自費になります。費用は「自費(任意接種)の費用」の表に税込の総額で記載しています。
糖尿病・高血圧・心臓病などで通院中の方は、むしろ接種をおすすめします。発熱しているとき、免疫を強く抑える治療中(生ワクチンの場合)、過去に同じワクチンで強いアレルギーが出た方は、接種できないか延期することがあります。予診票とお薬手帳をお持ちください。
※本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。実際の接種可否は、予診と診察のうえで個別に判断します。制度の内容と費用は2026年8月時点のものです。
|
森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。接種の可否は予診・診察のうえで判断します。
TOP