ものわすれ外来
ものわすれ外来
「最近、同じことを何度も聞いてしまう」
「約束や予定を忘れることが増えた」
「家族の様子が以前と少し違う気がする」
「認知症なのか、年齢によるもの忘れなのかわからない」
そのような段階からご相談いただけます。
もの忘れの原因は一つではありません。
など、さまざまな可能性があります。
当院では、最初から「認知症」と決めつけるのではなく、もの忘れの原因を整理し、必要な検査・治療につなげることを大切にしています。
近年は、早期アルツハイマー病の進行を遅らせる新しい治療も国内で使用できるようになりました。[1][2]
すべての方が対象になる治療ではありませんが、以前よりも軽い段階で原因を確認する意味が大きくなっています。
「一つ当てはまったら認知症」ということではありません。
一方、以前と比べて変化が続いている場合には、一度評価してみる価値があります。
「もの忘れが増えた」と聞くと、アルツハイマー病を心配される方が多いと思います。
しかし、認知機能が低下しているように見えても、別の原因が関係していることがあります。
例えば、
などです。
特に高齢になると、睡眠薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、抗コリン作用をもつ薬など、複数の薬が認知機能に影響していることもあります。
そのため当院では、認知機能検査だけではなく、薬・睡眠・気分・全身状態まで確認します。
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)は、認知機能の低下は認めるものの、日常生活の自立が大きく損なわれていない状態です。
MCIと診断された方が全員認知症へ進むわけではありません。
2025年の系統的レビュー・メタ解析では、MCIの長期経過には、
のいずれもいることが報告されています。[3]
一方、アルツハイマー病などの初期段階としてMCIが現れている場合もあります。
そのため、
MCIかどうかを確認すること
だけでなく、
なぜ認知機能が低下しているのかを考え、その後の変化を追うこと
が重要です。
睡眠、薬剤、甲状腺機能、ビタミン不足、うつ状態などが原因であれば、その原因への対応によって認知機能が改善する可能性があります。
脳の健康には、
なども関係しています。[4]
認知症が確定してから初めて考えるのではなく、より早い段階から管理することが重要です。
日本では、アルツハイマー病によるMCIまたは軽度認知症の一部の患者さんに対し、レカネマブ(レケンビ)、ドナネマブ(ケサンラ)という抗アミロイドβ抗体薬が使用できるようになりました。[1][2]
これらは認知症を治して元の状態へ戻す薬ではありませんが、臨床試験では認知機能・生活機能の低下を平均として遅らせる効果が示されています。[5][6]
対象となる患者さんは限られ、専門的な検査と安全管理が必要です。
当院では、治療適応の可能性がある場合には、抗アミロイドβ抗体治療を実施できる専門医療機関へご紹介します。
もの忘れそのものだけでなく、
などを確認します。
可能であれば、普段の様子をご存じのご家族にも同伴していただくと、診断の参考になる情報が増えます。
簡単な質問や課題を用いて、
などを確認します。
HDS-Rなどの簡易認知機能検査を使用することがありますが、一つの検査の点数だけで認知症を診断するわけではありません。
MCIが疑われる場合など、より詳細な認知機能評価が必要であれば専門医療機関での検査をご案内します。
お薬手帳を確認し、認知機能や眠気に影響する可能性のある薬がないか確認します。
処方薬だけでなく、市販の睡眠改善薬、アレルギー薬、サプリメントなどもわかればお知らせください。
必要に応じて、
などを確認します。
症状や背景によって検査内容は異なります。
睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群では、注意力や集中力が低下し、「記憶力が落ちた」と感じることがあります。
大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の眠気などがある場合は、睡眠の評価を行うことがあります。
認知機能低下の評価では、必要に応じて頭部MRIやCTを行います。
画像検査では、
などを確認します。
当院で専門的な画像検査が必要と判断した場合には、連携する病院・脳神経内科などへご紹介します。
検査後の日常的なフォローを当院で続けることもできます。
従来のアルツハイマー病治療薬は、主に症状を和らげることを目的としていました。
近年、脳内のアミロイドβを標的とし、病気の進行そのものを遅らせることを目的とした抗アミロイドβ抗体薬が登場しました。
日本では、
が使用されています。[1][2]
ただし、これらは「もの忘れがあれば使える薬」ではありません。
主に、
といった条件を満たす必要があります。[1][2]
副作用としてARIA(アミロイド関連画像異常:脳浮腫や微小出血など)が生じることがあり、専門施設で適切に管理する必要があります。
そのため当院で抗アミロイドβ抗体薬を投与するのではなく、まずもの忘れの一次評価を行い、適応が考えられる場合に専門医療機関へつなぎます。
アルツハイマー病では、脳内のアミロイドβやタウといった病理を評価する検査の進歩が続いています。
現在、専門診療では状況に応じて、
などが用いられます。
さらに、血液からアルツハイマー病の病理を推定するバイオマーカーの臨床応用も進んでいます。
厚生労働省の2025年ガイドラインでは、血漿p-tau217などについて、脳内アミロイドβ蓄積を推定する有用性が示され、抗アミロイドβ抗体薬のための専門的検査へ進む前の評価として活用する考え方が示されています。[7]
ただし、
血液検査だけで認知症を診断できる
という意味ではありません。
また、症状のない方へ一般的な「認知症スクリーニング」として測定することは推奨されていません。[7]
まず症状と認知機能を評価し、詳しいバイオマーカー検査が診療方針に影響すると考えられる場合に、専門医療機関で検討するのが現在の位置づけです。
「これをすれば認知症にならない」という方法はありません。
一方、2024年のLancet Commissionでは、認知症と関連する14の潜在的に修正可能なリスク因子が整理されています。[4]
代表的なものには、
などがあります。
同報告では、これら14因子が人口レベルで認知症の約45%と関連すると推計されていますが、「一人ひとりが生活習慣を変えれば45%の確率で認知症を予防できる」という意味ではありません。
大切なのは、認知症のためだけに特殊なことをするのではなく、血管や全身の健康も含めて改善できるリスクを管理することです。
当院では、
などとあわせて継続的に診療できます。
認知症の診療は、診断をつけて薬を処方すれば終わりではありません。
病気が進行すると、
など、生活上の課題が変化していきます。
当院では必要に応じて、
を行います。
通院が難しくなった場合には、当院の訪問診療へ移行することもできます。
よく、
と説明されます。
これは一つの目安にはなりますが、実際にはこれだけで区別することはできません。
「以前と比べて変化しているか」「日常生活に影響しているか」「周囲から見ても変化があるか」などを含めて判断します。
いいえ。
MCIのまま長期間安定する方や、正常範囲の認知機能へ戻る方もいます。[3]
一方、アルツハイマー病などの初期段階である場合もあるため、原因の評価と定期的なフォローが重要です。
これらの薬は、アルツハイマー病によるMCIまたは軽度認知症の一部の方を対象とした治療です。[1][2]
認知機能の程度だけでなく、アミロイドβの蓄積確認、MRI所見、持病や服用薬など複数の条件があります。
当院ではまず一般的なもの忘れの評価を行い、治療適応の可能性がある場合には、抗アミロイドβ抗体薬を実施できる専門医療機関へご紹介します。
現時点では、レカネマブやドナネマブもアルツハイマー病を完治させたり、失われた記憶を元に戻したりする治療ではありません。
臨床試験では、対象となる早期アルツハイマー病の患者さんにおいて、認知機能・生活機能の低下を平均として遅らせる効果が示されています。[5][6]
効果だけでなく、副作用や通院負担なども含めて検討する治療です。
血液バイオマーカーは大きく進歩していますが、通常の血液検査だけで認知症を確定診断するわけではありません。
現在は、症状のある方について専門医が必要性を判断し、アミロイドPETや脳脊髄液検査などへ進む前の評価に利用する方向で整備が進んでいます。[7]
無症状の方への一般的なスクリーニング検査としては推奨されていません。
すべての方に直ちにMRIが必要とは限りません。
症状の経過や診察結果を確認し、画像検査が必要と判断した場合にMRIやCTをご案内します。
はい。
睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群などによって注意力・集中力が低下し、「記憶力が落ちた」と感じることがあります。
いびき、無呼吸、日中の眠気などがある場合には睡眠についても確認します。
認知症では、ご本人が変化を自覚しにくいことがあります。
無理に「認知症の検査へ行く」と説得すると受診が難しくなる場合もあります。
受診のすすめ方に迷う場合は、まず当院へお電話でご相談ください。
ご本人が受診される際には、ご家族の同伴を歓迎します。
当院で継続して診療している患者さんについて、区からの依頼にもとづき主治医意見書を作成します。
介護保険の申請方法についてわからない場合には、地域包括支援センターなどと連携します。
病状や生活状況によって通院が難しくなった場合には、当院の訪問診療へ移行できることがあります。
ご本人・ご家族、ケアマネジャーなどと相談して調整します。
可能であれば、
と一緒に受診してください。
資料がなくても受診できます。
「認知症かどうかわからない」「年齢のせいかもしれない」という段階でもご相談いただけます。
※本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたものです。実際の診断・治療方針は、診察および検査結果にもとづいて個別に判断します。
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。科学的根拠にもとづき、患者さんごとの背景を考慮した診療を行っています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
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