ものわすれ外来

〒123-0845足立区西新井本町5丁目12番2号

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ものわすれ外来

ものわすれ外来

「年齢のせいかな」と思う段階からご相談ください

「最近、同じことを何度も聞いてしまう」
「約束や予定を忘れることが増えた」
「家族の様子が以前と少し違う気がする」
「認知症なのか、年齢によるもの忘れなのかわからない」

そのような段階からご相談いただけます。

もの忘れの原因は一つではありません。

  • 年齢に伴う変化
  • 睡眠不足や気分の落ち込み
  • 薬の影響
  • 甲状腺機能低下症やビタミン不足など治療可能な病気
  • 軽度認知障害(MCI)
  • アルツハイマー病をはじめとする認知症

など、さまざまな可能性があります。

当院では、最初から「認知症」と決めつけるのではなく、もの忘れの原因を整理し、必要な検査・治療につなげることを大切にしています。

近年は、早期アルツハイマー病の進行を遅らせる新しい治療も国内で使用できるようになりました。[1][2]
すべての方が対象になる治療ではありませんが、以前よりも軽い段階で原因を確認する意味が大きくなっています。

こんな変化はありませんか?

ご本人が感じやすい変化

  • 人や物の名前が以前より出てこなくなった
  • 約束や予定を忘れることが増えた
  • 探し物が増えた
  • 仕事や家事に以前より時間がかかる
  • 会話についていきにくくなった
  • 「最近、記憶力が落ちた」と感じる

ご家族が気づきやすい変化

  • 同じ話や質問を何度も繰り返す
  • 食事をしたことや、電話で話したこと自体を忘れる
  • 財布・鍵などを置いた場所がわからなくなることが増えた
  • 料理、買い物、金銭管理など慣れたことに手間取る
  • 日付や曜日を間違えることが増えた
  • 道に迷うことがある
  • 怒りっぽくなった、意欲が落ちたなど性格や行動に変化がある
  • 服薬管理が難しくなった
  • 身だしなみへの関心が低下した

「一つ当てはまったら認知症」ということではありません。

一方、以前と比べて変化が続いている場合には、一度評価してみる価値があります。

もの忘れ=アルツハイマー病とは限りません

「もの忘れが増えた」と聞くと、アルツハイマー病を心配される方が多いと思います。

しかし、認知機能が低下しているように見えても、別の原因が関係していることがあります。

例えば、

  • 睡眠不足
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • うつ状態
  • せん妄
  • 薬の副作用
  • 甲状腺機能低下症
  • ビタミンB12・葉酸などの不足
  • 肝臓・腎臓など全身の病気
  • 難聴
  • 視力低下

などです。

特に高齢になると、睡眠薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、抗コリン作用をもつ薬など、複数の薬が認知機能に影響していることもあります。

そのため当院では、認知機能検査だけではなく、薬・睡眠・気分・全身状態まで確認します。

軽度認知障害(MCI)は「認知症の一歩手前」と決まっているわけではありません

軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)は、認知機能の低下は認めるものの、日常生活の自立が大きく損なわれていない状態です。

MCIと診断された方が全員認知症へ進むわけではありません。

2025年の系統的レビュー・メタ解析では、MCIの長期経過には、

  • 認知症へ進行する方
  • MCIの状態で安定する方
  • 正常範囲の認知機能へ戻る方

のいずれもいることが報告されています。[3]

一方、アルツハイマー病などの初期段階としてMCIが現れている場合もあります。

そのため、

MCIかどうかを確認すること

だけでなく、

なぜ認知機能が低下しているのかを考え、その後の変化を追うこと

が重要です。

なぜ「まだ軽い段階」で相談するのですか?

1. 治療可能な原因が見つかることがあります

睡眠、薬剤、甲状腺機能、ビタミン不足、うつ状態などが原因であれば、その原因への対応によって認知機能が改善する可能性があります。

2. 生活習慣や全身のリスクを見直せます

脳の健康には、

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • LDLコレステロール
  • 運動
  • 喫煙
  • 飲酒
  • 聴力
  • 視力
  • 社会的なつながり

なども関係しています。[4]

認知症が確定してから初めて考えるのではなく、より早い段階から管理することが重要です。

3. 一部の早期アルツハイマー病には新しい治療の選択肢があります

日本では、アルツハイマー病によるMCIまたは軽度認知症の一部の患者さんに対し、レカネマブ(レケンビ)ドナネマブ(ケサンラ)という抗アミロイドβ抗体薬が使用できるようになりました。[1][2]

これらは認知症を治して元の状態へ戻す薬ではありませんが、臨床試験では認知機能・生活機能の低下を平均として遅らせる効果が示されています。[5][6]

対象となる患者さんは限られ、専門的な検査と安全管理が必要です。

当院では、治療適応の可能性がある場合には、抗アミロイドβ抗体治療を実施できる専門医療機関へご紹介します。

当院で行う評価

1. いつから、どのような変化があるか確認します

もの忘れそのものだけでなく、

  • いつ頃から変化したか
  • 徐々に進んでいるか、急に変化したか
  • 仕事や家事への影響
  • 買い物や金銭管理
  • 服薬管理
  • 運転
  • 睡眠
  • 気分
  • 飲酒
  • 聞こえや視力

などを確認します。

可能であれば、普段の様子をご存じのご家族にも同伴していただくと、診断の参考になる情報が増えます。

2. 認知機能を確認します

簡単な質問や課題を用いて、

  • 記憶
  • 注意
  • 見当識
  • 言語
  • 実行機能

などを確認します。

HDS-Rなどの簡易認知機能検査を使用することがありますが、一つの検査の点数だけで認知症を診断するわけではありません。

MCIが疑われる場合など、より詳細な認知機能評価が必要であれば専門医療機関での検査をご案内します。

3. 服用している薬を確認します

お薬手帳を確認し、認知機能や眠気に影響する可能性のある薬がないか確認します。

処方薬だけでなく、市販の睡眠改善薬、アレルギー薬、サプリメントなどもわかればお知らせください。

4. 血液検査で治療可能な原因を確認します

必要に応じて、

  • 甲状腺機能
  • ビタミンB12
  • 葉酸
  • 貧血
  • 肝機能
  • 腎機能
  • 血糖
  • 電解質

などを確認します。

症状や背景によって検査内容は異なります。

5. 睡眠・気分・聴力なども確認します

睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群では、注意力や集中力が低下し、「記憶力が落ちた」と感じることがあります。

大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の眠気などがある場合は、睡眠の評価を行うことがあります。

睡眠外来について詳しく見る

6. MRI・CTなどが必要な場合はご紹介します

認知機能低下の評価では、必要に応じて頭部MRIやCTを行います。

画像検査では、

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 慢性硬膜下血腫
  • 正常圧水頭症
  • 脳腫瘍
  • 脳萎縮の分布

などを確認します。

当院で専門的な画像検査が必要と判断した場合には、連携する病院・脳神経内科などへご紹介します。

検査後の日常的なフォローを当院で続けることもできます。

アルツハイマー病の治療は近年大きく進歩しています

従来のアルツハイマー病治療薬は、主に症状を和らげることを目的としていました。

近年、脳内のアミロイドβを標的とし、病気の進行そのものを遅らせることを目的とした抗アミロイドβ抗体薬が登場しました。

日本では、

  • レカネマブ(レケンビ)
  • ドナネマブ(ケサンラ)

が使用されています。[1][2]

ただし、これらは「もの忘れがあれば使える薬」ではありません。

主に、

  • アルツハイマー病によるMCIまたは軽度認知症である
  • 脳内にアミロイドβが蓄積していることが確認されている
  • MRIなどで治療上問題となる所見がない
  • 定期的な点滴・MRIなどの安全管理を行える

といった条件を満たす必要があります。[1][2]

副作用としてARIA(アミロイド関連画像異常:脳浮腫や微小出血など)が生じることがあり、専門施設で適切に管理する必要があります。

そのため当院で抗アミロイドβ抗体薬を投与するのではなく、まずもの忘れの一次評価を行い、適応が考えられる場合に専門医療機関へつなぎます。

認知症の検査も進歩しています

アルツハイマー病では、脳内のアミロイドβやタウといった病理を評価する検査の進歩が続いています。

現在、専門診療では状況に応じて、

  • アミロイドPET
  • 脳脊髄液バイオマーカー

などが用いられます。

さらに、血液からアルツハイマー病の病理を推定するバイオマーカーの臨床応用も進んでいます。

厚生労働省の2025年ガイドラインでは、血漿p-tau217などについて、脳内アミロイドβ蓄積を推定する有用性が示され、抗アミロイドβ抗体薬のための専門的検査へ進む前の評価として活用する考え方が示されています。[7]

ただし、

血液検査だけで認知症を診断できる

という意味ではありません。

また、症状のない方へ一般的な「認知症スクリーニング」として測定することは推奨されていません。[7]

まず症状と認知機能を評価し、詳しいバイオマーカー検査が診療方針に影響すると考えられる場合に、専門医療機関で検討するのが現在の位置づけです。

脳の健康のために、今できること

「これをすれば認知症にならない」という方法はありません。

一方、2024年のLancet Commissionでは、認知症と関連する14の潜在的に修正可能なリスク因子が整理されています。[4]

代表的なものには、

  • 高血圧
  • 高LDLコレステロール
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 身体活動不足
  • 喫煙
  • 過度の飲酒
  • 難聴
  • 未治療の視力低下
  • うつ
  • 社会的孤立

などがあります。

同報告では、これら14因子が人口レベルで認知症の約45%と関連すると推計されていますが、「一人ひとりが生活習慣を変えれば45%の確率で認知症を予防できる」という意味ではありません。

大切なのは、認知症のためだけに特殊なことをするのではなく、血管や全身の健康も含めて改善できるリスクを管理することです。

当院では、

などとあわせて継続的に診療できます。

認知症と診断された後も、地域で継続して支えます

認知症の診療は、診断をつけて薬を処方すれば終わりではありません。

病気が進行すると、

  • 薬の管理
  • 食事
  • 金銭管理
  • 運転
  • 介護サービス
  • ご家族の負担
  • 通院そのもの

など、生活上の課題が変化していきます。

当院では必要に応じて、

  • 認知症治療薬などの調整
  • 生活習慣病の管理
  • 介護保険の主治医意見書作成
  • 地域包括支援センターやケアマネジャーとの連携
  • ご家族への説明
  • 専門医療機関との連携

を行います。

通院が難しくなった場合には、当院の訪問診療へ移行することもできます。

訪問診療について詳しく見る

よくあるご質問

Q. 年齢によるもの忘れと、認知症の違いは何ですか?

よく、

  • 加齢によるもの忘れ:体験の一部を忘れる
  • 認知症:体験そのものを忘れる

と説明されます。

これは一つの目安にはなりますが、実際にはこれだけで区別することはできません。

「以前と比べて変化しているか」「日常生活に影響しているか」「周囲から見ても変化があるか」などを含めて判断します。

Q. MCIと言われたら、いずれ必ず認知症になりますか?

いいえ。
MCIのまま長期間安定する方や、正常範囲の認知機能へ戻る方もいます。[3]
一方、アルツハイマー病などの初期段階である場合もあるため、原因の評価と定期的なフォローが重要です。

Q. レカネマブやドナネマブを受けられますか?

これらの薬は、アルツハイマー病によるMCIまたは軽度認知症の一部の方を対象とした治療です。[1][2]
認知機能の程度だけでなく、アミロイドβの蓄積確認、MRI所見、持病や服用薬など複数の条件があります。
当院ではまず一般的なもの忘れの評価を行い、治療適応の可能性がある場合には、抗アミロイドβ抗体薬を実施できる専門医療機関へご紹介します。

Q. 新しい薬を使えば認知症は治りますか?

現時点では、レカネマブやドナネマブもアルツハイマー病を完治させたり、失われた記憶を元に戻したりする治療ではありません。
臨床試験では、対象となる早期アルツハイマー病の患者さんにおいて、認知機能・生活機能の低下を平均として遅らせる効果が示されています。[5][6]
効果だけでなく、副作用や通院負担なども含めて検討する治療です。

Q. 血液検査だけでアルツハイマー病がわかるようになったのですか?

血液バイオマーカーは大きく進歩していますが、通常の血液検査だけで認知症を確定診断するわけではありません。
現在は、症状のある方について専門医が必要性を判断し、アミロイドPETや脳脊髄液検査などへ進む前の評価に利用する方向で整備が進んでいます。[7]
無症状の方への一般的なスクリーニング検査としては推奨されていません。

Q. MRIは必ず必要ですか?

すべての方に直ちにMRIが必要とは限りません。
症状の経過や診察結果を確認し、画像検査が必要と判断した場合にMRIやCTをご案内します。

Q. 睡眠不足でももの忘れは増えますか?

はい。
睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群などによって注意力・集中力が低下し、「記憶力が落ちた」と感じることがあります。
いびき、無呼吸、日中の眠気などがある場合には睡眠についても確認します。

Q. 本人が受診したがりません。家族はどうすればよいですか?

認知症では、ご本人が変化を自覚しにくいことがあります。
無理に「認知症の検査へ行く」と説得すると受診が難しくなる場合もあります。
受診のすすめ方に迷う場合は、まず当院へお電話でご相談ください。
ご本人が受診される際には、ご家族の同伴を歓迎します。

Q. 介護保険の主治医意見書をお願いできますか?

当院で継続して診療している患者さんについて、区からの依頼にもとづき主治医意見書を作成します。
介護保険の申請方法についてわからない場合には、地域包括支援センターなどと連携します。

Q. 通院できなくなった場合も診てもらえますか?

病状や生活状況によって通院が難しくなった場合には、当院の訪問診療へ移行できることがあります。
ご本人・ご家族、ケアマネジャーなどと相談して調整します。

ご予約について

可能であれば、

  • お薬手帳
  • 健診結果
  • 過去のMRI・CTや診療情報
  • 普段の様子がわかるご家族

と一緒に受診してください。

資料がなくても受診できます。

「認知症かどうかわからない」「年齢のせいかもしれない」という段階でもご相談いただけます。

参考文献・資料

  1. 厚生労働省. レカネマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン. 2023年12月(更新版を含む). 厚生労働省
  2. 厚生労働省. ドナネマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン. 2024年11月(更新版を含む). 厚生労働省
  3. Salemme S, Lombardo FL, Lacorte E, et al. The prognosis of mild cognitive impairment: A systematic review and meta-analysis. Alzheimers Dement (Amst). 2025;17(1):e70074. PMID: 40078377. PubMeddoi
  4. Livingston G, Huntley J, Liu KY, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404(10452):572-628. PMID: 39096926. PubMeddoi
  5. van Dyck CH, Swanson CJ, Aisen P, et al. Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. N Engl J Med. 2023;388(1):9-21. PMID: 36449413. PubMeddoi
  6. Sims JR, Zimmer JA, Evans CD, et al. Donanemab in Early Symptomatic Alzheimer Disease: The TRAILBLAZER-ALZ 2 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023;330(6):512-527. PMID: 37459141. PubMeddoi
  7. 厚生労働省. 認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカーの適正使用ガイドライン(第3版). 2025. 厚生労働省PDF
  8. 日本神経学会(監修). 認知症疾患診療ガイドライン2017. 医学書院, 2017. 日本神経学会

※本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたものです。実際の診断・治療方針は、診察および検査結果にもとづいて個別に判断します。


著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。科学的根拠にもとづき、患者さんごとの背景を考慮した診療を行っています。
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