高血圧外来
高血圧外来
「健診では血圧が高かったけれど、家では普通」
「上の血圧が140〜150くらいあるが、症状はない」
「薬を始めるほどなのかわからない」
「血圧の薬を飲んでいるが、本当にこのままでよいのか気になる」
そのような段階からご相談いただけます。
高血圧の診断や治療では、診察室で1回測った血圧だけではなく、普段の家庭血圧を確認することがとても重要です。
日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、診察室血圧と家庭血圧で判断が異なる場合には、家庭血圧にもとづく診断を優先することが示されています。[1]
当院では、家庭血圧をもとに、
を確認します。
単に「血圧の数字を下げる」だけではなく、脳卒中・心臓病・腎臓病を将来できるだけ防ぐことを目標に診療します。
健診結果と、もしあれば家庭血圧の記録をお持ちください。
血圧は、そのときの緊張、睡眠不足、運動、寒さ、飲酒などによって大きく変動します。
そのため、診察室で1回高かっただけでは、その人の普段の血圧を正確に判断できないことがあります。
診察室や健診では血圧が高いのに、家庭では正常な状態です。
診察室では正常でも、自宅や早朝、仕事中などでは血圧が高い状態です。
特に仮面高血圧は診察室だけでは見逃されるため、家庭血圧が重要です。
JSH2025では、
を高血圧の基準としています。[1]
診察室と家庭で診断が異なる場合には、家庭血圧にもとづく判断を優先します。[1]
高血圧の診療では、「今日の診察室血圧」よりも、朝と夜の家庭血圧の平均が重要な情報になります。
できれば上腕(二の腕)で測る血圧計を使用してください。
朝
夜
原則として朝・夜それぞれ2回測定し、その平均を使用します。
診断や薬の効果判定には、7日間(少なくとも5日間)の朝・夜の血圧の平均を用いることが推奨されています。[1]
スマートフォンのメモや血圧管理アプリでも構いません。記録した家庭血圧を診察時にお見せください。
「140を超えたら高血圧なのに、どうして130未満まで下げるのですか?」
と疑問に思う方もいると思います。
現在の高血圧の診断基準は、
| 診察室血圧 | 家庭血圧 | |
|---|---|---|
| 高血圧の基準 | 140/90 mmHg以上 | 135/85 mmHg以上 |
| 治療中の目標 | 130/80 mmHg未満 | 125/75 mmHg未満 |
です。[1]
つまり、「高血圧と診断する基準」と「治療して目指す血圧」は同じではありません。
JSH2025では、原則として診察室血圧130/80 mmHg未満、家庭血圧125/75 mmHg未満が降圧目標とされています。[1]
ただし、実際の治療では、ふらつき・立ちくらみ、腎機能、年齢、日常生活の状態などを確認しながら、安全に下げていくことが重要です。
診察室血圧130〜139 mmHgまたは拡張期血圧80〜89 mmHgは、高血圧の診断基準である140/90 mmHgには達していません。
しかし、心血管疾患のリスクは140 mmHgを境に突然始まるわけではありません。
JSH2025では、130〜139/80〜89 mmHgを「上昇血圧」と位置づけ、生活習慣の改善や心血管リスクに応じた管理を勧めています。[1]
130台だから全員が薬を飲むわけではありません。
一方で、
などがある場合には、血圧以外のリスクも含めて評価することが重要です。
高血圧の多くには、はっきりした自覚症状がありません。
そのため、
「頭痛がないから大丈夫」
「元気だから治療しなくてもよい」
とは判断できません。
高い血圧が長期間続くと、血管や臓器に負担がかかり、
などのリスクが高くなります。
大規模なランダム化比較試験のメタ解析でも、血圧を下げることによって主要な心血管イベントが減少することが確認されています。[2]
大切なのは、症状が出てから治療することではなく、症状がない段階から将来のリスクを下げることです。
高血圧の多くは、遺伝、加齢、塩分、体重、運動不足など複数の要因が関係する「本態性高血圧」です。
一方、一部には別の病気や薬剤などが原因となって血圧が上がる二次性高血圧があります。
特に、
といった場合には、原因となる病気がないか検討します。
副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることで血圧が高くなる病気です。
通常の高血圧より心血管リスクが高いことが知られており、疑われる場合にはアルドステロン・レニンなどの検査を行います。[3]
腎臓の病気は高血圧の原因になる一方、高血圧によって腎臓が悪くなることもあります。
血液検査や尿検査で腎機能を確認し、必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
いびきや睡眠中の無呼吸を繰り返す睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、特に治療しても血圧が下がりにくい「治療抵抗性高血圧」と関連します。[1][4]
といった場合には、睡眠時無呼吸症候群がないか確認することがあります。
当院では自宅で行う睡眠検査にも対応しています。
一部の鎮痛薬、漢方薬・甘草を含む製剤、ステロイド薬などが血圧に影響する場合があります。
飲酒、睡眠不足、体重増加なども血圧上昇の原因になります。
処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めて確認します。
高血圧の薬は、単に「数字を下げる強さ」だけで選ぶわけではありません。
JSH2025では主な降圧薬として、
が挙げられています。[1]
実際には、
などを考えて選択します。
1種類だけで目標まで血圧が下がらない場合、1つの薬を増量し続けるよりも、作用の異なる薬を組み合わせることがあります。
JSH2025でも、目標まで20/10 mmHg以上の降圧が必要な場合や、高リスクの高血圧では、最初から2剤併用を検討する考え方が示されています。[1]
「薬が2種類になった=ものすごく重症」という意味ではありません。
十分な効果を得ながら副作用を抑えるための、標準的な治療方法の一つです。
高血圧では生活習慣の改善も重要です。
代表的なのは、
です。
特に日本人では塩分摂取が多くなりやすく、高血圧の方では食塩6g/日未満が目標とされています。[1]
ただし、
「全部やってください」
と言われても、長く続けるのは簡単ではありません。
当院では現在の食生活、体重、運動、飲酒、睡眠などを確認し、その方にとって血圧改善につながりやすく、実際に続けられそうなことから一緒に考えます。
これまでの血圧の推移、家庭血圧、体重変化、食事、運動、飲酒、睡眠、いびき、ご家族の病歴などを確認します。
健診結果、お薬手帳、家庭血圧の記録があればお持ちください。
状態に応じて以下を確認します。
| 検査・評価 | 主に確認すること |
|---|---|
| 家庭血圧 | 普段の血圧、朝・夜の血圧 |
| クレアチニン・eGFR | 腎機能 |
| ナトリウム・カリウム | 電解質、二次性高血圧の手がかり |
| 尿蛋白 | 腎臓への影響 |
| LDLコレステロール・中性脂肪 | 動脈硬化リスク |
| 血糖・HbA1c | 糖尿病の合併 |
| 心電図 | 不整脈、心臓への影響 |
| 体重・BMI | 肥満、生活習慣 |
| いびき・眠気 | 睡眠時無呼吸症候群の可能性 |
必要に応じて、原発性アルドステロン症など二次性高血圧の検査を追加します。
血圧の高さだけでなく、
を踏まえて、生活習慣の改善だけで経過を見るのか、薬物治療を始めるのかを相談します。
治療開始後は家庭血圧を確認しながら薬を調整します。
血圧が安定した後も、腎機能や電解質、糖尿病・脂質異常症などを定期的に確認し、将来の心血管リスクをできるだけ下げることを目指します。
高血圧、糖尿病、脂質異常症は、それぞれ別々に存在する病気ではありません。
複数のリスクが重なるほど、脳卒中や心臓病のリスクは高くなります。
当院では、血圧だけでなく、血糖・HbA1c、LDLコレステロール、腎機能、体重なども含めて内科でまとめて管理します。
高血圧の診療は保険診療です。月1回の通院で、診察と療養計画の管理にかかる費用は3割負担で約1,400円(再診料76点+生活習慣病管理料(Ⅱ)333点+処方箋料60点。令和8年度診療報酬改定(2026年6月施行)の点数)です。血液・尿検査を行う月は、検査の内容に応じて1,000〜3,000円程度が加わります。お薬代は薬局で別途かかります。初診時は初診料と検査費用がかかります。
※2026年8月時点の点数です。1割・2割負担の方は上記より少なくなります。生活習慣病管理料は、療養計画書にもとづく管理を行う月に算定します。
診察室や健診会場だけで血圧が高くなる「白衣高血圧」の可能性があります。
すぐに薬が必要とは限りませんが、白衣高血圧の方は将来持続性高血圧へ移行することがあります。そのため、家庭血圧を継続して確認することが重要です。
反対に、健診では正常でも家庭血圧が高い「仮面高血圧」もあります。
診察室と家庭で血圧が異なる場合は、家庭血圧の記録をお持ちください。
130台という数字だけで、一律に薬を始めるわけではありません。
130〜139/80〜89 mmHgでは、まず生活習慣の改善が中心になる方も多くいます。
一方、心臓病・脳卒中、腎臓病、糖尿病などがある方では治療方針が変わることがあります。血圧だけでなく、全体のリスクを見て判断します。
はい。
高血圧は、症状の有無だけでは重症度を判断できません。150 mmHg前後が繰り返し続く場合は高血圧にあたりますので、家庭血圧を記録して受診することをおすすめします。
必ずしもそうではありません。
減塩、減量、飲酒量の見直しなどによって血圧が低下し、薬を減らせる方もいます。
ただし、高血圧の薬を中止すると再び血圧が上昇する方は多く、JSH2025では薬を中止した患者の約4人に3人で血圧が再上昇するとされています。[1]
自己判断で中止せず、家庭血圧を確認しながら相談して調整します。
必ずしもそうではありません。
作用の異なる薬を組み合わせることで、1種類を大量に使うよりも効果的に血圧を下げ、副作用を抑えられる場合があります。
2剤以上の併用は、高血圧治療では一般的な方法です。
朝の血圧も重要です。
診察室の血圧が正常でも、早朝の血圧が高い「仮面高血圧」の場合があります。
まず1週間程度、朝と夜の家庭血圧を記録してお持ちください。必要に応じて薬の種類や服用方法、睡眠時無呼吸症候群なども検討します。
上腕(二の腕)にカフを巻くタイプをおすすめします。
高血圧の診断・治療には、精度が確認された上腕式血圧計が推奨されています。[1][5]
お持ちの血圧計を診察時に持参していただいても構いません。
非常に高い血圧に加えて、
などがある場合は、脳卒中や心血管疾患など緊急性の高い病気の可能性があります。通常の外来を待たず、救急要請を含めた対応が必要です。
症状がない場合でも、非常に高い血圧が繰り返し続く場合は医療機関へご相談ください。
健診で血圧を指摘された方は、健診結果をそのままお持ちください。
すでに家庭で血圧を測っている方は、紙の血圧手帳だけでなく、スマートフォンの記録や血圧計の履歴でも構いません。
「まだ薬を飲むほどかわからない」という段階でも受診できます。
※本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたものです。実際の診断・治療方針は、診察および検査結果にもとづいて個別に判断します。
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。科学的根拠にもとづき、患者さんごとの背景を考慮した診療を行っています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
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