予防医療について

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予防医療について

予防医療について

当院がもっとも力を入れているのが、予防医療です

医療というと、「具合が悪くなってから病院へ行き、治療を受けるもの」というイメージが一般的かもしれません。もちろん、つらい症状を治すことは医療の大切な役割です。しかし当院がもっとも力を入れているのは、その手前 ― 病気になる前に防ぐ、あるいはごく早い段階で見つけて手を打つこと、すなわち「予防医療」です。

生活習慣病も、がんも、加齢に伴う心身の衰えも、その多くは早めに対策をすれば発症や進行を抑えられることが分かってきました。「治す」よりも「防ぐ」「早く見つける」ほうが、体への負担も、医療費も、そして失うものも、はるかに小さくて済みます。

一方で、予防医療やアンチエイジングの分野は、効果のはっきりしない高額なサービスが宣伝されやすい領域でもあります。だからこそ当院は、医学的根拠(エビデンス)のある方法だけを選び、お一人おひとりの状態に合わせてご提案することを大切にしています。検査や治療をむやみに勧めるのではなく、「効くと証明されていること」と「まだ分かっていないこと」を正直にお伝えします。

ここでは、予防医療がどのように発展してきたのか、その全体像をご紹介します。

① 感染症を防ぐ ― 予防医療の出発点としてのワクチン

予防医療のもっとも古典的で、もっとも大きな成果のひとつがワクチン(予防接種)です。あらかじめ免疫をつけておくことで、実際にウイルスや細菌に出会ったときに、発症を防いだり、症状を軽くしたりできます。子どもの定期接種だけでなく、大人にも、インフルエンザ・肺炎球菌・帯状疱疹など、年齢やライフステージに応じて検討すべきワクチンがあります。

近年は、がんを予防するワクチンも普及してきました。代表がHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンで、子宮頸がんをはじめとするHPV関連のがんを防ぐ効果が期待されています。「感染症を防ぐ」という発想が、「将来のがんを防ぐ」ところまで広がってきた一例です。

② 生活習慣病を治す ― その先の「血管の病気」を防ぐために

現代の日本人の健康課題の中心は、糖尿病・高血圧・脂質異常症といった生活習慣病です。ここで大切なのは、生活習慣病そのものが最終的に怖いわけではない、という視点です。これらを治療する本当の目的は、その先にある脳梗塞・脳出血・心筋梗塞といった「血管の病気」を防ぐことにあります。

これらの病気は、自覚のないまま血管を少しずつ傷め、ある日突然、命にかかわる発作として現れることがあります。だからこそ、健康診断による早期発見が重要です。症状がないうちに数値の異常を見つけ、早めに手を打てば、血管へのダメージの蓄積を抑え、これまでと変わらない生活を続けられます。健診で指摘を受けたまま放置している方、治療を中断してしまった方も、ここからやり直すことができます。

③ がんを防ぐ・早期に見つける ― 検診とピロリ菌対策

生活習慣病の次に向き合うべき大きな柱ががんです。今は2人に1人ががんにかかると言われています。しかし、がんの中には、検診や対策によって「死亡を減らせる」「発症そのものを減らせる」ことが科学的に証明されているものがあります。例えば、大腸がん検診(便潜血検査)、子宮頸がん検診、乳がん検診はその代表例です。また、感染症ががんの原因になるものもあり、例えば子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)や、胃がんの原因となるピロリ菌の除菌などが挙げられます。特に、大腸がん検診は便の検査なので、まったく痛くもないのに大腸がんによる死亡率を20%以上低下させることが明らかになっています。また、子宮頸がんについては、ワクチンと検診を組み合わせることで90%以上が予防可能です。ワクチンも進歩しており、現在のワクチンでは12-13歳で定期接種を受けた女性において、子宮頸がんが83.9%減少したという報告も出ています。

やみくもに検査を増やすのではなく、効果がはっきりしているものを確実に受けることが、がん対策の要です。

④ さらに前から、そして加齢に備えて ― 発症前のリスクと体の変化

予防の視点は、さらに前段階へ向かっています。まだ病気と診断されない段階のリスク ― 肥満やメタボリックシンドローム、睡眠の問題などに早めにアプローチし、生活習慣病そのものの発症を防ぎます。とくに肥満は多くの病気の共通の上流にあり、睡眠時無呼吸などとも深く関わります。特にマンジャロに代表されるGLP-1作動薬の登場は、「肥満を治療する」ことを容易にし、内科・予防医学にとって大きな転換点です。

また、年齢を重ねるなかで生じるフレイル(心身の衰え)・骨粗しょう症・もの忘れといった変化も、早めの対策で進行をゆるやかにできる領域です。これらも、これからの予防医療の大切なテーマです。

⑤ マイナスを0に戻すだけでなく、もっと健康へ ― ウェルネスの時代

そして今、予防医療はもう一歩先へ進もうとしています。これまでが「病気というマイナスを防ぎ、0に戻す」ことを目標にしてきたとすれば、いま注目されているのは、0からさらにプラスへ ― より良い心身の状態を目指す「ウェルネス」という発想です。

「以前より疲れやすい」「気力がわかない」「眠りが浅い」「体重が増えてきた」「集中力が続かない」といった不調は、病気とまでは言えないこともあります。しかし、その背景には、睡眠不足、運動不足、栄養の偏り、ストレス、肥満、生活習慣病の初期変化、貧血(鉄欠乏)、甲状腺機能の異常、睡眠時無呼吸症候群、ホルモンの変化などが隠れている場合があります。

代表的な例として、男性更年期とも呼ばれるLOH症候群では、疲労感、意欲低下、睡眠の質の低下、筋力低下などがみられることがあります。

ウェルネスを意識した予防医療では、こうした不調を単に「病気かどうか」だけで判断するのではなく、睡眠、体重、栄養、運動、生活習慣、仕事や家庭でのパフォーマンスまで含めて考えます。

「ただ長生きする」だけでなく、「元気で、自分らしく過ごせる時間を長く保つ」こと。それが、これからの予防医療の大切な目標です。

気になる症状や将来の健康への不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。


予防医療に関する各ページ

当院の予防医療の取り組みは、テーマごとに以下のページで詳しくご紹介しています。

  • 健診で異常を指摘された方へ
  • 生活習慣病の予防・管理高血圧糖尿病脂質異常症高尿酸血症・痛風
  • 血管を守る予防医療 … 脳卒中・心筋梗塞を防ぐために/動脈硬化・心血管リスク評価
  • がんを防ぐ・早期に見つける … がん検診について/胃がん・ピロリ菌/大腸がん検診/乳がん検診/子宮頸がん検診・HPVワクチン
  • ワクチン・予防接種 … 大人の予防接種/インフルエンザ/肺炎球菌/帯状疱疹/HPVワクチン
  • 肥満・メタボリックシンドローム … 肥満症の治療/メディカルダイエット/睡眠時無呼吸症候群との関係
  • 睡眠から考える予防医療 … 睡眠時無呼吸症候群/不眠症/睡眠不足と生活習慣病
  • フレイル・加齢に伴う変化 … フレイル予防/骨粗しょう症/認知症・もの忘れ予防
  • 自由診療について … 自費ワクチン/自費健診・抗体検査/メディカルダイエット/男性更年期・LOH症候群

※本ページは予防医療の全体像をご紹介する一般的な情報です。各テーマの詳しい根拠・出典は、それぞれの個別ページに記載しています。実際の診断・治療方針は、診察のうえで個別に判断します。


著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状や検査結果がある場合は受診をご検討ください。

公開日:2026年6月6日 / 最終更新:2026年6月10日

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