予防接種・ワクチン
予防接種・ワクチン
お子さんの定期接種を計画的に進めることはもちろん大切ですが、保護者世代・祖父母世代がご自身のワクチンを整えておくことも、ご家族全体を感染症から守る大きな力になります。当院では、年齢・基礎疾患・生活環境・渡航予定などを踏まえ、お一人おひとりに合わせて必要なワクチンをご提案しています。お子さんの接種スケジュールに関するご相談、ご家族での接種計画など、不明点はお気軽にお問い合わせください。
| ワクチン | 防げる主な病気 | 主な対象 | 接種回数 | 区分(公費・助成) |
|---|---|---|---|---|
| インフルエンザ | 季節性インフルエンザ、肺炎・脳症などの合併症 | 生後6か月以上の全ての方/特に65歳以上、基礎疾患のある方、妊婦、医療・介護従事者、受験生 | 毎年1回(13歳未満は2回) | 65歳以上・60〜64歳の特定基礎疾患:定期接種(足立区助成)/
その他:任意 |
| 肺炎球菌(プレベナー20®) | 肺炎球菌による肺炎・敗血症・髄膜炎 | 65歳の方、免疫機能が低下している方、慢性心・肺・腎疾患のある方 | 1回 | 65歳:定期接種(足立区無料)/
その他:任意 |
| 新型コロナ | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症・重症化 | 65歳以上、60〜64歳で心・腎・呼吸器・免疫の基礎疾患がある方、ほか希望者 | 秋冬に年1回(定期接種対象者) | 高齢者等:定期接種/
その他:任意 |
| 帯状疱疹(シングリックス®/不活化) | 帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛(PHN) | 50歳以上の方/18歳以上で免疫不全リスクのある方 | 2回(2〜6か月あけて筋肉注射) | 2025年度より65歳から5歳ごとに定期接種化(5年経過措置)/
足立区は50〜65歳未満も任意接種に費用助成(1回10,000円) |
| 帯状疱疹(ビケン®/生ワクチン) | 帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛(PHN) | 50歳以上の方(妊婦・免疫不全の方は不可) | 1回(皮下注射) | 定期接種の選択肢/
足立区は50〜65歳未満の任意接種に費用助成(5,000円) |
| MR(麻しん風しん混合) | 麻しん(はしか)/風しん(先天性風しん症候群の予防) | 抗体価の低い成人、妊娠を希望する女性とそのパートナー、医療・教育・保育従事者、海外渡航者 | 1〜2回(接種歴・抗体価による) | 任意/
風しん追加的対策事業(昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性で抗体価が低い方)は令和9年3月末まで無料 |
| 水痘(みずぼうそう) | 水痘、将来の帯状疱疹リスク低減 | 抗体価の低い成人、医療・保育従事者、家族に未罹患の方がいるご家庭 | 2回(3か月以上あけて) | 小児は定期接種/
成人は任意 |
| ムンプス(おたふくかぜ) | 流行性耳下腺炎、ムンプス難聴、無菌性髄膜炎 | 抗体価の低い成人、妊娠希望者、医療・保育従事者 | 2回 | 任意 |
| 三種混合(DPT) | ジフテリア/百日せき/破傷風 | 学童期以降の追加接種、新生児に接するご家族(コクーン戦略)、医療従事者 | 1回(必要に応じ追加) | 任意(取り寄せ対応) |
| 破傷風(単独トキソイド) | 破傷風 | 前回接種から10年以上経過した方、外傷後の追加接種、海外渡航者 | 1回(追加) | 任意 |
| 不活化ポリオ | 急性灰白髄炎(ポリオ) | 接種歴のない・不十分な成人、ポリオ流行地域への渡航者 | 1回(ブースター) | 小児は定期接種/
成人は任意 |
| B型肝炎 | B型急性・慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん | 医療・介護・保育・救急に従事する方、HBVキャリアのご家族・パートナーがいる方、透析患者、海外渡航者 | 3回(0・1・6か月) | 0歳児は定期接種/
成人は任意 |
| A型肝炎 | A型肝炎 | 海外渡航(東南アジア・アフリカ・中南米・中東等)、食品取扱業務に従事する方 | 2〜3回 | 任意 |
| 日本脳炎 | 日本脳炎 | 接種歴のない成人、東〜東南アジア渡航者、農作業に従事する方 | 1〜3回(接種歴により異なる) | 小児は定期接種/
成人は任意 |
| HPV(シルガード9®/9価) | 子宮頸がん、肛門がん、中咽頭がん、陰茎がん、膣がん、外陰がん、尖圭コンジローマ等 | 小6〜高1相当の女性(定期)、キャッチアップ世代(過去対象者で接種未完了の方)、男性も任意接種を推奨 | 2〜3回(接種開始年齢により異なる) | 女子小6〜高1:定期接種A類(無料)/
足立区独自:男子(小6〜高1相当)は9価も全額助成 |
| 髄膜炎菌(メナクトラ®等) | 髄膜炎菌性髄膜炎、敗血症 | 寮生活・留学予定者、サウジアラビア巡礼者、サブサハラアフリカ等への渡航者 | 1回 | 任意 |
| 狂犬病 | 狂犬病 | アジア・アフリカなど狂犬病流行地域への渡航者、動物に咬まれた後の対応 | 曝露前3回/曝露後は別途スケジュール | 任意(要予約) |
最新の対象や費用、足立区の助成内容は変更される可能性があるため、ご予約時に当院へお問い合わせください。
乳幼児期に必要な定期接種(ヒブ、小児用肺炎球菌、五種混合、MR第1期など)も対応可能です。お子さんのスケジュールづくりには、NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」がまとめている 0〜1歳の予防接種スケジュール(PDF) や 小学生以降のスケジュール(PDF) もご参照ください。当院ではHPVワクチン(小学6年生〜)など、思春期以降のお子さんに必要なワクチンも対応しております。
※一部ワクチンは取り寄せ対応となります。ご予約時にご確認ください。
インフルエンザは例年冬季に流行し、高熱・頭痛・関節痛・倦怠感・咳などの症状を急激に引き起こす感染症です。ウイルスの型が毎年変異するため、毎年の予防接種が推奨されています。
インフルエンザは健康な成人にとってもつらい症状を引き起こしますが、高齢者、妊婦、基礎疾患のある方、小児などでは重症化しやすく、肺炎や脳症などの合併症を引き起こすリスクがあります。ワクチンを接種することで
・発症率の低下(約50%程度)
・重症化の予防
・発症しても症状の軽減・早期回復
といった効果が期待できます。
例年10月〜12月に接種を済ませておくのが理想です。効果は接種後約2週間で現れ、約5か月間持続します。
13歳未満は2回接種(2〜4週間あけて)
13歳以上は原則1回接種
※接種費用や時期は自治体や年度により異なります。詳しくは当院までお問い合わせください。
肺炎球菌は、市中肺炎の原因菌として最も多く、高齢者においては重症化しやすく注意が必要です。重症化すると、肺炎だけでなく、敗血症や髄膜炎といった合併症を引き起こすことがあります。特に新型コロナウイルス感染症の流行以降、肺炎に対する関心が高まっています。
日本では、2014年(平成26年)10月より65歳を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種が始まりました。2026年4月以降は、20価結合型肺炎球菌ワクチン(プレベナー20®)が定期接種ワクチンとして採用されています。接種歴のない65歳の方には市区町村から通知が届き、自己負担なしで接種を受けられます(足立区は無料)。
また、免疫機能が低下している方(例:ステロイド・免疫抑制剤を使用している方、慢性腎疾患をお持ちの方)には、より免疫原性の高い結合型肺炎球菌ワクチン(プレベナー20®など)の接種が推奨される場合があります。
帯状疱疹は、幼少期にかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが神経に潜伏し、加齢やストレス、過労などによる免疫力の低下をきっかけに再活性化して発症します。
主に体の片側にピリピリとした痛みを伴い、その後水ぶくれを含む赤い発疹が現れます。50歳以上で発症率が急増し、日本人の約3人に1人が生涯で一度はかかるといわれています。
帯状疱疹は早期に治療を行えば回復が期待できますが、約2割の方が「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という長期間の慢性疼痛に移行することがあり、生活の質に大きく影響します。
現在、帯状疱疹の予防には以下の2種類のワクチンが利用できます。
1回接種で済み、安価です。いわゆる「水ぼうそう」のワクチンとして、お子さんの定期接種に含まれているものです。帯状疱疹の予防効果は不活化ワクチンに劣りますが、帯状疱疹後神経痛の予防効果は70%弱あり、一定の効果があります。しかし、生ワクチンといって、弱毒化した水痘ウイルスを含んでいるため、免疫抑制剤を使っている方には使用できません。アメリカでは下記の不活化ワクチンの登場により、生ワクチンは販売中止となっています。
2か月間隔で2回接種が必要なワクチンです。帯状疱疹の原因となるウイルスの一部(表面のたんぱく質)をもとに作られたワクチンで、免疫抑制剤を使っている方でも安全に接種できます。また、生ワクチンではないため、他のワクチンとの接種間隔につき制限はありません。
帯状疱疹の発症予防効果が高いことが特徴で、その効果が9年以上続きます。
一方で副反応は生ワクチンと比べて頻度が多く、接種部位の局所反応以外にも倦怠感や筋肉痛、発熱、頭痛など全身症状も報告されています。
ただし、いずれも数日で改善するものがほとんどです。
帯状疱疹に関して、現在もっともお勧めとなるワクチンです。
いずれのワクチンも50歳以上の方に推奨されており、健康な方でも予防目的で接種可能です。
過去に帯状疱疹や水痘にかかった方でも、加齢などにより免疫が低下するため、ワクチン接種をおすすめします。
また最近では、ワクチンを接種することで認知症予防につながる可能性を示唆する研究も生ワクチン・不活化ワクチン両方で報告されており、積極的に接種をおすすめしています。
| 生ワクチン 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」® |
不活化ワクチン シングリックス® |
|
|---|---|---|
| 接種方法 | 1回、皮下注 | 2回(2〜6か月あけて)、筋注 |
| 帯状疱疹予防効果 | 3年:64%(60–69歳)、38%(70歳以上) | 3年:96%(50–69歳)、85%(70歳以上) 9.6年:89% |
| 帯状疱疹後神経痛の予防効果 | 約67% | 約90% |
| 副反応 | 1%未満 | 約10%(筋肉痛、倦怠感、頭痛、震え、発熱、胃腸症状など) 1〜3日程度 |
| 予防効果の持続期間 | 5年は持続、8年で20〜30%まで低下 | 約10年持続、10年以上のデータは今後確認 |
| 禁忌 | 妊婦・免疫不全者 | 自己免疫疾患・移植患者は主治医に相談 |
| 備考 | 米国では販売終了、副反応少ない | 効果・持続期間で優れる、特に70歳以上で差が大きい |
| 費用(1回あたり) | 約8,800円 | 約22,000円 |
子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。HPVは主に性行為を通じて感染するウイルスであり、性交開始前の接種が最も効果的とされています。
子宮頸がんは20〜30代の女性に多く発症し、出産や育児の時期と重なることから「マザーキラー」とも呼ばれています。
日本では、小学校6年生〜高校1年生相当の女性が定期接種の対象です。かつてワクチン接種後に多様な症状の訴えがあったことから、2013年以降積極的な接種勧奨が控えられていましたが、接種との因果関係が示されなかったことや、海外での高い予防効果が確認されたことを受けて、2021年に積極的勧奨が再開されました。
HPVは子宮頸がん以外にも、肛門がん、中咽頭がん、陰茎がん、膣がん、尖圭コンジローマ、再発性呼吸器乳頭腫など、さまざまな疾患の原因となるため、定期接種の年齢以降の方・男性も積極的な接種をおすすめします。
男性においても、HPVは中咽頭がん・肛門がん・陰茎がん・尖圭コンジローマなどの原因となります。男性への接種は任意接種(自費)となりますが、足立区では小学6年生〜高校1年生相当の男性への接種費用を全額助成(無料)しています。令和8年度より9価ワクチン(シルガード9®)も助成対象に追加されました。
表記の凡例:
必ず確認=接種歴・抗体価をぜひチェックしたいワクチン/
状況に応じて=環境・予定に該当する方に検討いただくワクチン
乳幼児期に定期接種を受けていても、年月の経過で抗体が下がっていたり、当時の制度で接種機会が少なかったワクチンがあります。とくに麻しん・風しんは大規模な流行が繰り返されており、海外で感染して帰国するケースも報告されています。社会生活・家庭づくりに入る前に、いま一度ご自身の接種歴を確認することをおすすめします。
妊娠中はほとんどの生ワクチンが接種できません。風しん・水痘・ムンプスなどに妊娠中に感染すると、流産・早産・先天性風しん症候群(CRS)など赤ちゃんへの重大な影響が知られています。妊娠前に必要なワクチンを整えておくこと、パートナー・同居家族からの感染を防ぐことが、安全な妊娠・出産の準備になります。生ワクチン接種後は2か月間の避妊が必要です。
新生児はまだ自分でワクチンを十分に接種できません。とくに百日せきは、赤ちゃんがかかると無呼吸発作や脳症などで重症化することがあり、家族からの感染が大きな原因となっています。赤ちゃんを家族みんなで守る「コクーン戦略」として、両親・きょうだい・祖父母世代のワクチンを整えておくことをおすすめします。
50歳を境に帯状疱疹の発症率は急上昇し、日本人の約3人に1人が一生のうちに発症するといわれています。また、昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性は、過去に風しんの定期接種を受ける機会がなかった世代で、いまも国の追加的対策事業の対象になっています。子育てを終えた今こそ、ご自身のワクチンを整えるタイミングです。
加齢とともに免疫力は徐々に低下し、感染症は若い頃よりも重症化しやすくなります。とくに肺炎球菌感染症・帯状疱疹・インフルエンザ・新型コロナは、入院や生活機能の低下につながりやすい代表的なVPDです。65歳・70歳・75歳…と節目の年齢で受けられる定期接種を、機会を逃さず計画的に進めましょう。
糖尿病・慢性呼吸器疾患・心疾患・腎疾患・肝疾患・血液疾患をお持ちの方、ステロイド・免疫抑制剤・生物学的製剤・抗がん剤などによる治療を受けている方は、年齢にかかわらず感染症が重症化しやすい状態にあります。治療開始の2週間以上前までに必要なワクチンを済ませておくのが理想です。生ワクチン(MR・水痘・ムンプス・帯状疱疹生ワクチンなど)は使えないことが多いため、不活化ワクチンを中心に組み立てます。主治医とも連携して進めますので、ご相談ください。
日常的に多くの方と接する職場では、ご自身を守ることが同時に患者さん・利用者さん・園児・生徒を守ることにつながります。学会・自治体・施設のガイドラインで推奨されているコアワクチンを中心に整えておきましょう。就職・実習開始前の抗体検査と接種証明書の準備にもご活用ください。
日本国内では珍しい感染症も、渡航先によっては身近なリスクになります。渡航先・滞在期間・活動内容(都市部のみ/農村・地方/医療従事/動物との接触)によって必要なワクチンは大きく変わります。出発まで余裕(理想は1〜3か月)をもってご相談ください。当院ではトラベルワクチン外来(要予約)も行っています。
※本マップは2026年5月時点の制度・一般的な推奨に基づきます。実際の接種可否は、母子手帳の記録、抗体価、基礎疾患、服用中のお薬、妊娠・授乳の有無、渡航先などにより異なります。来院時に予診票でくわしくお伺いし、お一人おひとりに合わせたご提案をいたします。
主な参考:大人の予防接種|NPO法人 VPDを知って、子どもを守ろうの会、予防接種情報|厚生労働省、予防接種|足立区
TOP