75歳からの運転免許更新と認知機能検査|「認知症のおそれ」と言われたら?家族が知っておくこと
75歳からの運転免許更新と認知機能検査|「認知症のおそれ」と言われたら?家族が知っておくこと
「親の免許更新の通知が来たが、認知機能検査というものがあるらしい」「検査で引っかかったらどうなるのか」「そろそろ返納してほしいが、本人は乗る気でいる」――75歳を過ぎたご家族の運転についてのご相談は、外来でもたびたびいただきます。
道路交通法により、75歳以上の方は運転免許の更新時に「認知機能検査」を受けることが義務づけられています(一定の交通違反があった場合には、更新時以外にも臨時の検査があります)。この記事では、(1)認知機能検査で何をするのか、(2)「認知症のおそれあり」と判定されたらどうなるのか、(3)ご家族ができる準備を、順にご説明します。
※検査の手続き・手数料などの詳細は変更されることがあります。最新の情報は警察庁・警視庁(東京都の場合)の案内でご確認ください。
認知機能検査は、認知症かどうかを「診断」する検査ではなく、記憶力・判断力が運転に必要な水準にあるかをふるい分ける検査です。内容は、イラストを覚えて後で思い出す課題(手がかり再生)や、今日の年月日・曜日・時刻を答える課題(時間の見当識)などで構成されています。
結果は大きく2つに分かれます。
まず大切なのは、この判定=認知症の診断ではないということです。当日の緊張や体調、聴力の問題などで結果が振るわないこともあります。
判定を受けた方は、公安委員会の指定する医師の診察を受けるか、かかりつけ医などによる診断書を提出します。診察では、記事⑦でご紹介したような認知機能の検査(長谷川式など)や、治療可能な原因を除外する血液検査を行い、認知症かどうか、あるとすればどの程度かを評価します。
当院でも、免許に関連したもの忘れのご相談・認知機能の評価を行っています。診断書の作成に対応できるか、専門医療機関へのご紹介が適切かは症状により異なりますので、まずは診察でご相談ください。
検査の前に――もの忘れが気になっているなら、免許の検査で突然指摘される前に、外来で一度認知機能を評価しておくことをおすすめします。治療できる原因(甲状腺・ビタミン・薬の影響など)が見つかることもありますし、結果に応じて運転について家族で話し合う時間をつくれます。
運転を続ける場合――サポカー(安全運転サポート車)への乗り換え、夜間や雨天・長距離を避けるなど、リスクを下げる工夫があります。
返納を考える場合――「取り上げる」のではなく、生活の足の代わりを一緒に用意することが円満のこつです。運転経歴証明書を取得すると、バス・タクシーの割引など各自治体の特典を受けられる場合があります。足立区にお住まいの方の代替手段(コミュニティバスなど)についても、外来でよく話題になります。
※家族だけで抱え込まないでください。説得が難しい場合、医師から本人へ検査結果に基づいてお伝えするほうが受け入れられやすいことも多くあります。
検査問題の丸暗記のような対策はおすすめしません。検査はあくまで安全に運転できる状態かの確認です。むしろ、睡眠不足・耳の聞こえ・薬の副作用など、当日の実力を下げる要因を整えておくことが現実的な準備です。気になる場合は事前に外来で認知機能を評価できます。
医師の診察で認知症ではない(または軽度認知障害にとどまる)と判断されれば、更新できる場合があります。判定はあくまで「ふるい分け」であり、最終的には医学的な評価で決まります。
免許更新は、ご本人が検査を受け入れやすい数少ない機会でもあります。「更新で引っかかると面倒だから、先に内科で調べておこう」という誘い方が有効なことがあります。ご家族からのご相談だけでも承ります。
免許の判定で慌てる前に、まず外来で現在地を知る。ご本人の尊厳を守りながら備える方法は、そこから一緒に考えられます。
▶ ものわすれ外来(ご家族のみのご相談も可)
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。免許制度の詳細は変更されることがあります。
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