健康診断の「要精密検査」「要再検査」を放置するとどうなる?項目別のリスクと受診の目安
健康診断の「要精密検査」「要再検査」を放置するとどうなる?項目別のリスクと受診の目安
「去年の健診も『要精密検査』だったが、症状がないのでそのままにしている」「再検査に行こうと思っているうちに次の健診が来てしまった」「行くとしても何科に行けばいいのか分からない」――健診結果についてのご相談で、実はいちばん多いのがこの「放置してしまっている」パターンです。
まず言葉の意味から整理します。健診の判定は施設により表現が異なりますが、おおむね次のように分かれます。
「要精密検査=重い病気」ではありません。しかし「症状がないから大丈夫」でもありません。生活習慣病は、症状が出ないまま血管を傷め続けるのが特徴だからです。
この記事では、(1)項目別に「放置すると何が起きるか」、(2)受診が1回で済む準備、(3)よくある不安への答えを、順にご説明します。
血糖(血糖値・HbA1c)――高血糖は自覚症状のないまま、腎臓・目・神経の細い血管を傷めます。糖尿病による腎症は、人工透析が必要になる原因の代表です。当院の生活習慣病ページでは、足立区の特定健診データを独自に分析した結果(HbA1cが高いまま未治療の方の割合など)を掲載しています。数値で見ると、「放置」が珍しくないこと、そしてもったいないことが分かります。
血圧――健診の1回の測定では緊張で高く出る方もいます(だからこそ再検査=家庭血圧の確認に意味があります)。本当に高血圧であれば、放置は脳卒中・心筋梗塞・心不全のリスクを着実に積み上げます。
脂質(LDLコレステロール・中性脂肪)――痛くもかゆくもない項目の代表ですが、動脈硬化は静かに進みます。家族歴や喫煙など他のリスクと合わせて治療の要否を判断するため、「数値だけで様子見」を自己判断しないことが大切です。
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)――お酒だけが原因ではありません。近年増えているのは、飲まない方の脂肪肝です。放置すると一部は肝硬変へ進むことがあり、超音波検査や追加の血液検査で評価します。
尿検査(尿蛋白・尿潜血)――腎臓の病気は早期発見が特に重要です。尿蛋白の持続は腎機能低下のサインで、再検査で確認する価値が高い項目です。
心電図・胸部レントゲン――不整脈(心房細動など)は脳梗塞の原因になります。「経過観察」とされた所見も、動悸や息切れがあれば早めにご相談ください。
精密検査・再検査は、準備をすれば多くの場合1〜2回の受診で完了します。
当院は特定健診・後期高齢者医療健診の指定医療機関でもあり、健診後のフォローを内科として一貫して行えます。費用は保険適用で、内容にもよりますが3割負担で数千円程度がめやすです。
大げさではありません。健診はそもそも「症状が出る前に見つける」ための仕組みです。症状が出てからでは、血管や腎臓のダメージが進んでいることがあります。「症状がないうちに来てくださった方」こそ、健診が役に立った方です。
同じ数値が出ること自体に意味があります。「一時的な変動ではない」と確認できれば、次は原因の評価と対策に進めます。逆に正常化していれば、それも安心材料です。
血糖・血圧・脂質・肝機能・尿・心電図など、健診で引っかかる項目の大半は内科で対応できます。専門的な検査や治療が必要な場合は、当院から適切な医療機関をご紹介します。まず内科に持ち込んでいただくのが近道です。
当院は土曜も診療しています。Web予約(24時間)で、待ち時間を抑えて受診いただけます。
健診結果を引き出しにしまう前に、紙を持って一度内科へ。評価はその1回から始まります。
▶ 生活習慣病・健診異常の診療はこちら/健康診断の解説記事はこちら
|
森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。判定区分の名称・基準は健診実施機関により異なることがあります。
TOP