睡眠時無呼吸と高血圧・糖尿病

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睡眠時無呼吸症候群と高血圧・糖尿病の深い関係|薬が効きにくい高血圧の隠れた原因

睡眠時無呼吸と高血圧・糖尿病

「血圧の薬を2種類飲んでいるのに、なかなか目標まで下がらない」「朝に測る血圧だけ高い」「糖尿病の数値が生活を変えても改善しない」――こうした「治療しているのに良くならない」お悩みの裏に、実は睡眠の病気が隠れていることがあります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中にのど(上気道)がふさがって呼吸が止まることをくり返す病気です。いびきや日中の眠気の病気として知られていますが、それだけではありません。高血圧・糖尿病・不整脈・心不全と深く結びついた「全身の病気」です。

この記事では、(1)無呼吸が血圧と血糖を悪化させる仕組み、(2)どんな人で疑うべきか、(3)まとめて管理する治療の考え方を、順にご説明します。

無呼吸が血圧・血糖を悪くする仕組み

睡眠中に呼吸が止まるたびに、体の中では次のことが起きています。

  1. 酸素不足と覚醒反応――呼吸が止まると血液中の酸素が下がり、体は「窒息の危機」と判断して脳を瞬間的に目覚めさせます。これが一晩に何十回もくり返されます
  2. 交感神経の興奮――本来は体を休める夜間に、興奮の神経(交感神経)が働き続け、血管が縮み、心拍数が上がります。その結果、夜間や早朝の血圧が上がります
  3. ホルモンと代謝の乱れ――細切れの睡眠はストレスホルモンの分泌や食欲のバランスを乱し、血糖を下げるインスリンの効きを悪くします(インスリン抵抗性)

高血圧の診療では、いくつも薬を使っても血圧が下がりにくい場合、背景に別の原因がないかを探します。睡眠時無呼吸症候群はその代表的なもののひとつで、日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2019』でも、二次性高血圧(原因のある高血圧)の原因として取り上げられています。

こんな方は無呼吸を疑ってください

  • 血圧の薬を飲んでいるのに、目標値まで下がらない
  • 早朝・起床時の血圧がとくに高い(家庭血圧で朝135/85mmHg以上が続く)
  • 大きないびき・呼吸停止を指摘されたことがある
  • 糖尿病・脂質異常症があり、BMI 25以上
  • 日中の眠気、起床時の頭痛、夜間のトイレが多い
  • 心房細動などの不整脈を指摘されている

ひとつでも当てはまる方、とくに「薬が効きにくい高血圧」の方は、一度睡眠の検査を検討する価値があります。検査はご自宅でできる簡易検査から始められ、保険適用です(詳しくはいびきの記事睡眠外来のページへ)。

「まとめて管理」が近道です

無呼吸と生活習慣病は、悪循環の関係にあります。肥満が無呼吸を悪化させ、無呼吸が睡眠の質を下げ、眠気と代謝の乱れが運動不足と体重増加を招き、血圧と血糖がさらに上がる――この輪のどこかを断つ必要があります。

当院が内科と睡眠外来を一体で行っているのは、この悪循環に対して、血圧・血糖・体重・睡眠をひとつの外来でまとめて管理するためです。

  • CPAP治療で無呼吸を抑えると、夜間の血圧上昇が改善する方がいます(効果には個人差があります)
  • 減量は無呼吸と血圧・血糖の両方に良い影響が期待できる大切な治療です。減量の進め方は健診異常・要再検査の診療でもご相談いただけます
  • 通院は月1回程度。CPAPの管理と生活習慣病の診療を同じ日にまとめられます

よくあるご質問

Q. 血圧の薬をやめられる可能性はありますか?

無呼吸の治療だけで薬が不要になるとは限りません。ただ、夜間・早朝の血圧が改善して薬の調整余地が生まれる方はいらっしゃいます。自己判断で中断せず、家庭血圧を測りながら診察で相談していきましょう。

Q. やせていれば無呼吸の心配はありませんか?

やせていても起こります。あごが小さい方、扁桃が大きい方は、体型にかかわらず気道が狭くなりやすいためです。いびきや眠気があれば体型で判断せず検査をおすすめします。

Q. 健診で血圧と血糖を指摘されたばかりです。どちらを先に受診すればよいですか?

同時に評価できます。当院では初回の診察で健診結果を確認し、必要なら血液検査と自宅での睡眠簡易検査を並行して進めます。別々に受診し直す必要はありません。

「効きにくい」は原因を探すサイン

薬を増やす前に、睡眠を一晩調べてみる。治療がかみ合っていない方ほど、そこに答えがあることがあります。

睡眠外来のご案内健診異常・要再検査の診療(Web予約24時間受付)

参考文献

  • 日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)』ライフサイエンス出版
  • 日本呼吸器学会ほか監修『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』南江堂

著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。血圧の薬の調整は必ず主治医とご相談ください。

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