女性の健康相談外来
女性の健康相談外来
「ほてりや不眠が続く、更年期かもしれない」「だるさがとれない」「生理痛(月経痛)が毎月つらい」「PMS(月経前のイライラや不調)で仕事に支障が出る」――こうしたお悩みは、婦人科だけでなく、内科でもご相談いただけます。
ただし、低用量ピル(OC・LEP)を当院で新たに開始することはできません。当院には超音波(エコー)の設備がなく、背景にある子宮内膜症・子宮筋腫などの評価ができないためです。避妊や月経移動を目的とする場合も承っておりません。当院で承れるのは、婦人科で診断がついている方の継続処方に限られます。
この記事では、(1)当院の女性の健康相談外来でできること、(2)更年期の不調、(3)更年期と間違えやすい内科の病気、(4)月経困難症・PMSと鉄欠乏性貧血、(5)低用量ピル(OC・LEP)、を順にご説明します。
当院では、内科のかかりつけ医として、月経・PMS・更年期といった女性の体の悩みを一つの窓口でご相談いただけます。具体的には、問診・血圧測定・血液検査・生活指導、鎮痛薬の調整、貧血や甲状腺の検査、更年期の非ホルモン療法までを行います。低用量ピルについては、婦人科で診断がついている方の継続処方のみ承ります。
いっぽうで、低用量ピルを新たに始める場合や、内診・子宮頸がん検診・経腟エコー・不正出血の精密検査などが必要な場合には、連携する婦人科をご案内します。「まず気軽に相談したい」という段階でご利用ください。
40代後半以降のほてり・のぼせ・発汗・不眠・気分の落ち込み・膣の乾燥などは、更年期の症状のことがあります。日常生活に支障が出る中等度以上の症状が、治療を考える目安です。
治療には、ホルモン補充療法(HRT)と、非ホルモン療法(SSRI・SNRI・プラセンタなど)があります。当院で行うのは非ホルモン療法です。HRTはほてり・発汗にもっとも効果の高い治療ですが、開始前に子宮・卵巣の評価や不正出血の除外が必要になることがあり、当院では行っていません。HRTをご希望の方、非ホルモン療法で十分な効果が得られない方は、婦人科をご紹介します。内診・がん検診・不正出血の精査が必要な場合も同様です。膣の乾燥・性交痛には保湿剤や膣用のお薬もあります。
ほてり、疲れやすさ、気分の落ち込み、動悸、体重の変化――こうした症状は更年期に典型的ですが、内科の病気でも同じように起こります。「更年期だから仕方がない」と思っていた不調が、調べてみると別の原因だった、ということは少なくありません。
甲状腺の病気は女性に多く、更年期の症状とよく似ています。
橋本病(慢性甲状腺炎)は甲状腺のはたらきが落ちる病気で、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘などが起こります。女性に多く、男女比はおよそ1対20〜30、とくに30〜40代の女性に発症することが多いとされています。
バセドウ病は逆に甲状腺のはたらきが強くなる病気で、動悸、体重減少、指の震え、暑がり、汗かきなどが起こります。男女比はおよそ1対3〜5で、20〜30代の若い女性に多い病気です。
どちらも血液検査(TSH・FT4)で確かめられます。
貧血、甲状腺疾患、生活習慣病など身体的な原因については、当院で検査・診療が可能です。一方、気分の落ち込みや不安などの精神症状が主症状の場合には、精神科・心療内科での評価が適しています。更年期のご相談で来られた方には、まずこの範囲を一度整理しておくことをおすすめしています。
月経困難症(つらい生理痛)には、鎮痛薬や生活指導に加えて、LEPが有効なことがあります。ただし当院では、月経困難症の治療としてLEPを新たに開始することはできません。背景に子宮内膜症・子宮筋腫などが隠れていないかを見きわめるには超音波検査が必要で、当院にはその設備がないためです。ホルモン剤による治療をお考えの方は、超音波検査のできる婦人科をご紹介します。
当院で行うのは、鎮痛薬の使い方の見直しと生活指導、そして背景にある鉄欠乏性貧血・甲状腺機能の異常の検査と治療です。生理痛が重い方では、貧血がだるさや立ちくらみの原因になっていることが少なくありません。婦人科での治療が始まったあとの体調管理や貧血のフォローも、当院で続けられます。
PMSは、症状の記録・生活の工夫を基本に、鉄欠乏性貧血・甲状腺機能の異常・睡眠の問題など、症状を強める内科的な要因がないかを確認します。ホルモン剤による治療が必要と判断した場合は、婦人科をご紹介します。毎月の不調をがまんせず、一度ご相談ください。
生理のある年代の女性は、毎月の月経で鉄を失うため、鉄が不足しやすい状態にあります。とくに経血量が多い方(過多月経)は鉄欠乏性貧血になりやすく、生理痛の重さと貧血が重なって、つらさが増していることがあります。
貧血というと「めまい」を思い浮かべる方が多いのですが、実際に多いのは次のような症状です。
これらは「疲れているだけ」と片づけられがちですが、採血で確かめられます。血算(ヘモグロビン・赤血球の大きさ)に加えて、体に蓄えられた鉄の量を示すフェリチンもあわせて確認します。ヘモグロビンが基準の範囲内でも、蓄えの鉄だけが減っている段階があり、この段階でも症状が出ることがあります。
治療は鉄剤の内服が基本です。ヘモグロビンは数週間で戻ってきますが、蓄えの鉄が回復するまでには数か月かかります。数値が正常になっても自己判断で中断せず、続けていただくことが大切です。あわせて、経血量が多い方は、その原因(子宮筋腫・子宮腺筋症など)を調べるために婦人科をご紹介することがあります。
なお、閉経後の女性や男性の鉄欠乏性貧血では、消化管からの出血が隠れていることがあります。その場合は、消化器の検査もご相談します。
低用量ピルは、少量の卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)を配合したお薬です。同じ成分でも、避妊を目的に使うものをOC(経口避妊薬)、月経困難症や子宮内膜症などの治療を目的に使うものをLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)と呼び分けます。排卵と子宮内膜の増殖を抑えることで、生理痛の軽減、過多月経・月経不順の改善、子宮内膜症の進行抑制、にきびの改善といった効果が知られています。
当院では、目的にかかわらず、ピルを新たに始めることは行っておりません。婦人科で診断がついている方の継続処方のみ、保険診療で承ります。
もっとも注意すべき副作用は静脈血栓症(VTE)です。頻度は1年間に1万人あたり3〜9人で、飲んでいない方(1〜5人)の約2倍とされます。飲み始めて3か月以内に起きやすく、長く休んだあとに再開したときも一時的に上がります。
次の症状(頭文字をとってACHES/エイクス)は血栓のサインです。ひとつでもあれば、服用を中止してすぐに受診してください。
乳がんの治療中の方、血栓症の既往や血栓ができやすい体質のある方・手術の前後、35歳以上で1日15本以上たばこを吸う方、重い高血圧や重い肝臓の病気のある方、前兆のある片頭痛の方は、原則として使えないか、慎重な判断が必要です。年齢の目安として、40歳以上では慎重に判断し、50歳以降は使用しません。
飲み忘れたときは、24時間以内に気づけば気づいた時点で1錠のみ、残りはいつもの時刻に。2錠以上飲み忘れた場合は、なるべく早く1錠のみ、残りは予定どおりに続け、7錠続けてのめるまでは性交渉を避けるか避妊具を併用します。判断に迷うときはご相談ください。
初回は、婦人科での診断名と処方中のお薬が分かるもの(お薬手帳など)をお持ちください。問診・血圧・体重、既往歴・喫煙・服用中のお薬をうかがい、禁忌がないかを確認したうえで、同じお薬を継続してお出しします。必要に応じて血液検査(血算・肝機能・脂質など)を行います。子宮頸がん検診や内診が必要な場合は、連携婦人科をご案内します。
その後も定期的に血圧や体調を確認しながら続けます。婦人科での経過確認も並行して続けていただき、受診された結果を診察時にお聞かせください。お薬の種類を変える場合や症状が変わってきた場合は、あらためて婦人科での評価が必要になります。
当院では、相談・血圧測定・血液検査・生活指導、鎮痛薬の調整、貧血や甲状腺の検査、更年期の非ホルモン療法まで、内科の範囲で対応します。低用量ピルは、婦人科で診断がついている方の継続処方のみ承ります。「婦人科は行きづらい」「まず気軽に相談したい」という段階でも、どうぞご利用ください。
ピルを新たに始める場合や、内診・がん検診など専門的な対応が必要な場合は、連携婦人科へおつなぎします。
※検査・治療の費用や保険の取り扱いは、内容により異なります。詳しくは診察時にご案内します。
すでに婦人科で診断を受け、ピルを続けておられる方の継続処方のみ承っています。初回はお薬手帳など、診断名と処方中のお薬が分かるものをお持ちください。血圧・喫煙の有無・血栓症のリスク・禁忌を確認したうえでお出しします。新たにピルを始めることは、目的にかかわらず当院ではできません。生理痛(月経困難症)の治療の場合、背景に子宮内膜症などがないかを確かめるには超音波検査が必要で、当院にはその設備がないためです。避妊や月経移動を目的とする場合も承っておりません。いずれも婦人科などをご受診ください。
飲み始めの吐き気・乳房のはり・頭痛・少量の出血は、多くが2周期ほどで軽くなります。体重が増えるかどうかははっきりしていません。もっとも注意すべきは血栓症で、ACHES(激しい腹痛・胸痛・頭痛、視野や言葉の異常、ふくらはぎの痛み)が出たらすぐ受診してください。
中止後3か月以内に約90%の方で排卵が再開し、妊娠できる力は戻ります。将来の妊娠に備えて中止することもできます。
お薬としては、月経困難症に保険が使えるLEPという選択肢があり、PMSに対して用いることもあります。ただし当院では、これらの治療としてピルを新たに開始することはできませんので、超音波検査のできる婦人科をご紹介します。当院では、鎮痛薬の使い方の見直しと、背景にある貧血・甲状腺の病気の確認を行います。
初経のあとから閉経前まで使えます。40歳以上は慎重に評価し、50歳以降は使用しません。喫煙する方は、35歳以上で1日15本以上の場合は使えないなど、年齢と本数による制限があります。
はい、ご相談いただけます。診断がつき、同じお薬を続けておられる方が対象です。初回は、婦人科での診断名と処方中のお薬が分かるもの(お薬手帳など)をお持ちください。お薬の種類を変える場合や、症状が変わってきた場合は、あらためて婦人科での評価が必要になります。ピルを続けている間も婦人科での定期的な経過確認は続けていただき、受診された結果を診察時にお聞かせください。
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状や検査結果がある場合は受診をご検討ください。
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