もの忘れと認知症はどう違う?

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もの忘れと認知症はどう違う?受診を考える7つのサインと外来でできること

もの忘れと認知症はどう違う?

「同じことを何度も聞くようになった気がする」「親が冷蔵庫に同じものばかり買いためている」「もの忘れを本人に指摘すると怒ってしまう」――ご本人からよりも、ご家族からのご相談が多いのが、もの忘れの特徴です。

もの忘れには、年齢相応の「加齢によるもの忘れ」と、病気としての「認知症によるもの忘れ」があります。両者は連続的で境目があいまいなこともありますが、典型的には次のような違いがあります。

この記事では、(1)加齢のもの忘れと認知症の違い、(2)受診を考える7つのサイン、(3)外来でどんな検査をするのかを、順にご説明します。

加齢のもの忘れと認知症の違い

いちばん分かりやすい目安は、「体験の一部を忘れるのか、体験そのものを忘れるのか」です。

  • 加齢によるもの忘れ:昨日の夕食の「メニュー」が思い出せない。ヒントがあれば思い出せる。忘れっぽい自覚がある。日常生活は自立している
  • 認知症によるもの忘れ:夕食を「食べたこと自体」を忘れる。ヒントがあっても思い出せない。忘れている自覚が乏しい。買い物・料理・金銭管理など生活に支障が出てくる

もうひとつ大切なのは、認知症は「もの忘れだけの病気ではない」ことです。日付や場所が分からなくなる、慣れた家事の段取りが悪くなる、意欲がなくなる、性格が変わったように見える――こうした変化が、もの忘れより先に目立つこともあります。

受診を考える7つのサイン

  1. 同じことを何度も言う・聞くことが増えた
  2. 物をしまった場所が分からなくなり、「盗られた」と言うことがある
  3. 日付や曜日をよく間違える
  4. 料理の味付けが変わった、レパートリーが減った
  5. 買い物で同じものを買いためる、支払いでお札ばかり使い小銭が増えた
  6. 薬の飲み忘れ・飲み間違いが増えた
  7. 趣味や外出への興味が薄れ、家に閉じこもりがちになった

ひとつでも当てはまり、それが「以前と比べて変わってきた」と感じられる場合は、一度ご相談ください。早く調べる目的は、認知症と決めつけることではありません。治せる原因を除外し、これからの生活の準備を早く始めるためです。

外来では何をするのか

当院では、まず内科の外来でご相談を受けています(ものわすれ外来)。診察はおおむね次の流れです。

  1. 問診――ご本人とご家族の両方から、いつから・何が変わったかをうかがいます。ご家族のメモがとても役立ちます
  2. 認知機能の検査――長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSE(ミニメンタルステート検査)という、質問形式の検査を行います。所要は10分程度です
  3. 血液検査など――甲状腺機能低下症やビタミン不足など、治療できる「認知症に見える病気」が隠れていないかを調べます。飲んでいる薬の影響(多すぎる薬とその影響の記事もご参照ください)も確認します
  4. 必要に応じて専門医療機関へ――頭部の画像検査(MRIなど)や専門的な診断が必要な場合は、連携する医療機関をご紹介します

検査はいずれも保険適用です。診断がついた場合も、生活の工夫、ご家族の相談先(地域包括支援センターなど)、介護保険の使い方まで含めてご案内します。運転免許のことが気になる方は、75歳からの運転免許と認知機能検査の記事をご覧ください。

よくあるご質問

Q. 本人が受診を嫌がります。どうすればよいですか?

「もの忘れを調べに行こう」と正面から誘うと抵抗が強いことが多いです。「健康診断のついでに」「血圧も気になるから一緒に」など、内科の受診として来ていただく形で構いません。当院は内科ですので、自然な形で認知機能の評価まで行えます。

Q. 家族が付き添ったほうがよいですか?

できれば付き添いをおすすめします。ご本人が気づいていない変化の情報が診断の助けになります。ご本人の前で話しにくい内容は、メモでお渡しいただいても結構です。

Q. 認知症と診断されたら、もう治らないのでしょうか?

原因によります。甲状腺の病気やビタミン欠乏、薬の影響などが原因であれば、治療で改善が見込めます。アルツハイマー型などの認知症でも、進行を穏やかにする薬物療法や、生活環境の調整で「困りごと」を減らすことは可能です。早く分かるほど、打てる手は多くなります。

「年のせいかな」で終わらせないために

変化に気づいたときが、調べどきです。まず10分の検査と採血一本から。備えはそこから始まります。

ものわすれ外来(Web予約24時間受付・ご家族の同席歓迎)

通院が難しくなってきたときは

受診の付き添いが続けられない、ご本人が通院を嫌がるようになった、といった状態が続く場合は、ご自宅にうかがう訪問診療という方法もあります。認知症があり、ひとりでの受診や服薬の管理が難しい方も対象になります。

▶ 足立区の訪問診療について(対応エリア・診療内容・費用)
▶ 親が通院できなくなったら——家族が最初にすること

参考文献

  • 日本神経学会監修『認知症疾患診療ガイドライン2017』医学書院

著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。
▶ 院長の経歴・研究業績を見る

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。認知症の診断は診察・検査に基づいて行われます。

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