親が通院できなくなったら

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親が通院できなくなったら――家族が最初にすること【足立区】

親が通院できなくなったら

「毎回わたしが仕事を休んで連れて行っている」「待合室で長く座っていられず、受診の翌日はぐったりしている」「本人が『もう病院はいい』と言い出した」――親御さんの通院について、こうしたご相談をいただくことが増えています。

通院が続かなくなるとき、いちばん先に限界がくるのは、たいていご本人ではなくご家族の側です。そして多くの場合、どこに相談すればよいのかが分からないまま、受診の間隔だけが少しずつあいていきます。

この記事では、(1)切り替えを考えるタイミングの目安、(2)足立区での相談先、(3)ご本人への切り出し方、(4)相談の前に用意しておくとよいものを、順にご説明します。

1. こんなときが、考えどきです

「寝たきりになってから」と思われがちですが、そうではありません。次のような状態が続いていたら、一度相談してよい時期です。

  • 通院のたびに家族が仕事を休んで付き添っている
  • 車の乗り降りや待ち時間の見守りが、介助する側の負担になってきた
  • 受診の翌日から数日、ぐったりして動かない
  • 受診の間隔があき、薬が余っている、あるいは切れている
  • 転倒が増えた、外出時にふらつく
  • 認知症があり、ひとりでの受診や服薬の管理が難しくなってきた
  • 退院を勧められたが、在宅酸素・胃ろう・カテーテルなどの管理が必要と言われた
  • ご本人が「もう病院には行きたくない」と言うようになった

このなかで、いちばん早く、いちばん分かりやすく現れるのが残薬です。薬箱に飲み残しがたまり始めたら、通院という手段がもう合っていないサインだとお考えください。

※ とくに高齢の方では、「通院がつらい」とご本人が言葉にしないまま、受診の間隔だけがあいていくことがあります。「本人が何も言わないから大丈夫」とは限りません。

2. 足立区では、どこに相談すればよいか

相談先はひとつではありません。ご事情に近いところから始めていただけます。

入院中・退院が決まっている場合 ── 病院の地域連携室・退院支援の窓口

もっとも確実な入り口です。「家で診てくれる医師を探したい」と伝えれば、担当者が地域の在宅医を探してくれます。退院前カンファレンス(退院前の関係者の打ち合わせ)の段階で在宅医が決まっていると、退院当日からの訪問も調整しやすくなります。

すでに介護保険を使っている場合 ── 担当のケアマネジャー

介護サービスと医療の両方を見渡して、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリの組み合わせを考えてもらえます。ケアマネジャーは地域の在宅医の事情をよく知っているので、相性も含めて相談できます。

まだ介護保険を使っていない場合 ── 地域包括支援センター(ホウカツ)

足立区では、高齢者の生活・介護・医療の相談窓口として、区内各地域に地域包括支援センターが置かれています(区では「ホウカツ」の愛称で案内されています)。介護保険の申請から相談できますので、「何から手をつければよいか分からない」という段階でも大丈夫です。お住まいの地域を担当するセンターは、足立区の公式ページで確認できます(記事末尾の参考資料を参照)。

直接クリニックに聞いてもよいか

差し支えありません。当院にも、ご家族から「受けてもらえるかどうかだけ知りたい」というお電話をいただきます。受け入れの可否からご相談を承っていますので、どこに相談すればよいか分からないときの入り口としてお使いください。

3. ご本人にどう切り出すか

ここでつまずくご家族が多くいらっしゃいます。「家に医者を呼ぶ」という提案は、ご本人には「もう治らないと思われている」「見放された」という意味に受け取られることがあるためです。

次のような順序で話すと、受け入れられやすくなります。

  1. 困っていることを、ご本人の側の言葉にする。「病院に行くと次の日つらそうだよね」「待ち時間が長くて大変だよね」
  2. それが通院という手段のせいであることを示す。「診てもらうのをやめるんじゃなくて、来てもらう形に変えられるらしいよ」
  3. 今の薬も治療も続くこと、今の通院先をすべてやめる話ではないことを伝える
  4. 費用の見当を先に示す。1割負担の方なら月2回で約7,000円が目安です
  5. 断ってもよい、まず話を聞くだけでもよい、と選択の余地を残す

それでも気が進まないという場合は、ご家族だけで先に相談していただいて構いません。どういう形になるのかが分かってから、あらためてご本人と話す、という順序で進めるご家庭も多くあります。

4. 相談の前に用意しておくとよいもの

  • お薬手帳、または現在飲んでいる薬そのもの
  • 直近の検査結果、診療情報提供書、退院時要約(お持ちであれば)
  • 健康保険証(マイナ保険証または資格確認書)、医療費の負担割合が分かるもの
  • 介護保険証(お持ちであれば)
  • ご本人が困っていること、ご家族が困っていることのメモ

最後のメモがいちばん役に立ちます。「夜中に何度も起きる」「食事の量が減った」「薬を飲み忘れる」といった生活のことは、診察室では見えにくく、家にうかがってはじめて分かることが多いためです。

5. 費用が心配なとき

訪問診療は保険診療です。月2回の定期訪問の場合、1か月あたりの標準負担額の目安は、70歳以上で1割負担の方が約7,000円、2割負担の方が約14,000円、3割負担の方が約20,000円です。検査や処置を行った場合は、これと異なることがあります。

「通院にかかっていた交通費や、付き添いのために休んだ分」と並べて考えると、金額の見え方が変わることもあります。高額療養費制度など負担を軽くする仕組みが使えることもありますので、心配な場合は遠慮なくご相談ください。

よくあるご質問

Q. 相談してから、どのくらいで来てもらえますか?

当院では、ご相談からおおむね1週間以内を目安に初回訪問にうかがっています。退院日が決まっているなど、お急ぎの事情がある場合は数日で調整することもありますので、ご連絡の際にその旨をお伝えください。

Q. まだ歩けているのですが、早すぎませんか?

早すぎるということはありません。通院が難しくなりつつある段階でのご相談を承っています。実際には、通えなくなってからよりも、通いにくくなってきた段階でご相談いただいたほうが、ご本人の負担が小さく済むことが多いと感じています。ただし、ご自身で問題なく通院できている方は対象外となりますので、対象になるかどうかを含めてご相談ください。

Q. 遠方に住んでいる家族でも手続きできますか?

ご相談は承ります。ただし初回訪問の際は、ご本人のご意向の確認と契約の手続きがありますので、ご家族に立ち会っていただくか、事前にご意向を確認させていただく必要があります。詳しくはご相談ください。

Q. 本人が「家に来てもらうのは気が進まない」と言っています。

無理に決める必要はありません。まずはご家族だけでご相談いただき、どういう形になるのかを知っていただくところから始められます。「一度話だけ聞いてみる」という段階でも承ります。

Q. 介護保険の申請もまだなのですが、先に医療から相談してよいですか?

差し支えありません。医療と介護のどちらから始めても構いません。介護保険をお使いでない場合は、地域包括支援センターへの相談もあわせてご案内します。

ご相談先

西新井内科クリニックでは、足立区西新井本町の当院を拠点に訪問診療にうかがっています。ご家族だけのご相談も承ります。

お電話:03-3840-4146(受付時間:平日 9:00〜12:00/14:00〜17:00、土 9:00〜12:00)
訪問診療ご相談フォーム:こちらから(24時間受付)

▶ 訪問診療と往診はどう違う?——在宅医療の始め方
▶ 足立区の訪問診療について(対応エリア・診療内容・費用)

参考資料


著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。訪問診療を受けられるかどうかは、患者さんの状態を確認のうえ個別に判断します。

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