疲れやすい・だるいとき、内科では何を調べる?原因と検査の進め方
疲れやすい・だるいとき、内科では何を調べる?原因と検査の進め方
「最近ずっと体がだるい」「しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない」「以前に比べて集中力が続かない」。
このような慢性的な疲労感を感じたとき、「仕事が忙しいから」「年のせいだから」と我慢してしまう方は少なくありません。
しかし、疲れやだるさ(全身倦怠感)の背景には、貧血、甲状腺疾患、糖尿病、肝臓・腎臓の障害、睡眠時無呼吸症候群(SAS)など、内科で適切に評価し、治療できる身体の病気が隠れていることがあります。
この記事では、疲れが続くときに考えられる代表的な原因、内科で行う検査の流れ、受診の目安について分かりやすく解説します。
疲労や倦怠感は、非常に多くの病気で現れる「非特異的」な症状です。そのため、問診では症状がいつから続いているか、どのような生活パターンかを丁寧に伺うとともに、疲労に伴う全身のサインを確認します。
内科で特に頻度の高い身体的原因には、以下のようなものがあります。
赤血球やヘモグロビンが不足すると、全身の細胞に十分な酸素が行き届かなくなります。
動悸、息切れ、立ちくらみ、顔色の悪さなどを伴うことが多いですが、特に女性では「重度の鉄欠乏(貯蔵鉄フェリチンの低下)」があっても健診のヘモグロビン値では見落とされる潜在的な鉄欠乏もあります。
甲状腺ホルモンは全身の代謝を活発にするアクセルの役割を果たしています。このホルモンが不足すると代謝が落ち、強いだるさ、寒がり、皮膚の乾燥、むくみ、便秘、体重増加、気力の低下などが現れます。40〜50代以降の女性に特に多く見られます。
インスリンの働きが不十分で血糖をエネルギーとしてうまく細胞に取り込めなくなると、全身のエネルギー不足からだるさを感じます。喉が異常に渇く、尿の回数が増える、急に体重が減るといった症状が有名ですが、初期にはほとんど自覚症状がないまま疲労感だけが続くこともあります。
「毎晩7〜8時間ベッドに入っている」という方でも、睡眠中に何度も気道が塞がって無呼吸を繰り返していると、深い睡眠が得られず脳と体が休まりません。日中の耐えがたい眠気、起床時の頭痛や口の渇き、集中力低下、大きないびきが代表的なサインです。
肝臓や腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には局所の痛みが出ません。しかし機能が落ちて体内に老廃物が溜まったり代謝が滞ったりすると、慢性的な倦怠感や食欲不振、むくみとして現れることがあります。
中高年男性において、男性ホルモン(テストステロン)が低下することで、慢性疲労、意欲低下、不眠、筋力低下、性欲減退などが生じることがあります。「男性更年期」とも呼ばれます。
当院では、問診で生活習慣やお困りの症状を詳しく伺った上で、必要な検査を絞り込んで行います。すべての方に画一的な検査を行うのではなく、疑われる病気に応じた優先順位をつけて進めます。
| 検査項目 | 主なチェック内容 | 対象となる病気の目安 |
|---|---|---|
| 血算・鉄関連検査 | 赤血球、ヘモグロビン、血清鉄、フェリチン(貯蔵鉄) | 鉄欠乏性貧血、慢性炎症性貧血 |
| 生化学検査 | AST、ALT、γ-GTP、クレアチニン、eGFR、電解質 | 肝機能異常、慢性腎臓病(CKD)、電解質異常 |
| 血糖・HbA1c | 空腹時または随時血糖、過去1〜2か月の平均血糖 | 糖尿病、耐糖能異常 |
| 甲状腺ホルモン検査 | TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4(遊離サイロキシン) | 甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能低下症 |
| 尿検査 | 尿蛋白、尿糖、尿潜血 | 腎臓病、糖尿病、尿路疾患 |
| 簡易睡眠呼吸検査 | 自宅で機器を装着し就寝中の無呼吸指数を計測 | 睡眠時無呼吸症候群(SAS) |
| ホルモン検査(男性) | 遊離テストステロン(採血時間:午前中推奨) | 男性更年期障害(LOH症候群) |
健診結果が手元にある場合は、すでに測定済みの項目を省いて効率的に追加検査を計画できます。受診時には直近の健診結果用紙をぜひご持参ください。
疲労感や集中力の低下は、過度な心理的ストレス、うつ病、適応障害、不安症といった精神疾患でも頻繁に起こります。
しかし、「最近気分が晴れないから、きっとストレスのせいだ」と自己判断してしまうと、背景にある重い貧血や甲状腺疾患、糖尿病などの身体疾患を見逃してしまうリスクがあります。
まずは身体的な病気がないかを内科で客観的に確認・除外しておくことが、適切なケアへの第一歩になります。
西新井内科クリニックは一般内科・生活習慣病・睡眠外来を担当するクリニックです。うつ病や適応障害、パニック症などの精神疾患を主とする専門診療(抗うつ薬の詳細な調整や精神療法など)は行っておりません。
身体検査の結果で明らかな異常がなく、気分の強い落ち込み、強い不安、死にたい気持ちなどの精神症状が主であると判断される場合は、適切な心療内科・精神科専門医への受診をおすすめ、またはご紹介いたします。
一般的な健診(特定健診や雇入時健診)では、甲状腺ホルモンやフェリチン(貯蔵鉄)、微量元素、睡眠時無呼吸症候群などは項目に含まれていません。健診でA判定であっても、それ以外の内科疾患や睡眠の質に問題があるケースは多いため、受診して追加の評価を受けることをおすすめします。
「十分な休養をとっても2週間以上だるさが抜けない」「体重が急激に減ってきた」「少し動いただけで息切れや動悸がする」「日中に強い眠気がある」「微熱が続いている」といった症状がある場合は、我慢せずに早めにご相談ください。
血糖値や中性脂肪などを正確に測定するためには、可能であれば絶食(空腹時)での受診が理想的です。ただし、脱水を防ぐためにお水やお茶などの水分はしっかり補給してお越しください。体調がすぐれず食後になった場合でも、随時採血として検査可能ですのでご安心ください。
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状や検査結果がある場合は受診をご検討ください。最終更新:2026年9月。記載の制度・費用等は変更される場合があります。
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