健診で「要再検査」と言われたら

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健康診断で『要再検査』と言われたら

健診で「要再検査」と言われたら

健康診断の結果に「要再検査」「要精密検査」と書かれていた。でも、忙しくてまだ受診していない。自覚症状もないし、たぶん大丈夫だろうと思っている——。

そんな方は、決して少なくありません。むしろ、ごく自然な感覚だと思います。痛くもかゆくもないのに、わざわざ仕事を休んで病院に行くのは気が重いものです。

ただ、健康診断の本来の目的は「症状が出る前に、体の変化を見つけること」にあります。自覚症状がないことは、受診しなくてよい理由にはなりません。むしろ、症状がないからこそ健診で見つける意味があります。

この記事では、(1)「要再検査」と「要精密検査」の違い、(2)放置されやすい代表的な項目とそのリスク、(3)足立区の健診データから見える地域の傾向、(4)当院での再検査の流れ——を、順を追って説明します。

「要再検査」と「要精密検査」「要医療」は何が違う?

健康診断の結果は、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分にならって、おおむね次のように分けられます。

  • A:異常なし
  • B:軽度異常(経過観察)
  • C:要再検査・生活改善
  • D:要精密検査・要医療
  • E:治療中

この記事で対象にしているのは、主に C(要再検査)D(要精密検査・要医療) に当てはまった方です。大まかに言うと、

  • C(要再検査):同じ項目を一定期間後にもう一度測る、または生活習慣の改善で様子をみる段階。
  • D(要精密検査・要医療):より詳しい検査や治療を始めたほうがよい段階。専門の検査や診療につなぐことを考えます。

どちらの場合も、まずは内科・かかりつけ医に相談するのが現実的です。D判定であっても、内科で初期評価をしたうえで必要に応じて専門の医療機関へ紹介状を書く、という流れが一般的だからです。

なお、健診で「要再検査」と案内された後、実際に二次的な受診につながる割合は、決して高くないことが知られています。「自覚症状がない」「忙しい」「次の健診で良くなっているかもしれない」など理由はさまざまですが、結果として放置されやすいのが、この「要再検査」という区分です。

なぜ「要再検査」は放置されやすいのか

  • 自覚症状がないため「大丈夫」と感じてしまう。生活習慣病の多くは、重症化するまで自覚症状に乏しいのが特徴です。
  • 平日の診療時間と仕事が合いにくい。特に働き盛りの世代では受診のハードルが高くなります。
  • 「次の健診まで様子見でいい」という先送りが起きやすい。

けれども、健診の意味は「症状が出る前の早期発見」にあります。自覚症状がない今こそ、受診のタイミングだと考えてみてください。

放置するとどうなる? 代表的な健診異常とリスク

健診でよく「要再検査・要精密検査」となる項目と、放置した場合に起こりうること、内科でできる初期対応を、表にまとめました。

項目 異常とされやすい目安 放置した場合に起こりうること 内科でできる初期対応
血圧 収縮期140以上 / 拡張期90以上 脳卒中・心臓病・腎臓の負担 家庭血圧の評価、生活指導、必要時に治療
血糖(HbA1c) 6.5%以上 糖尿病とその合併症(神経・眼・腎臓) 再検査、生活指導、治療の検討
LDLコレステロール 140mg/dL以上 動脈硬化の進行 リスクに応じた目標設定と管理
肝機能(AST/ALT/γ-GT) 基準値超 脂肪肝・肝炎などの見逃し 採血の再評価、腹部超音波
腎機能(eGFR)・尿蛋白 eGFR低下 / 尿蛋白陽性 慢性腎臓病(CKD)の静かな進行 eGFR・尿蛋白の評価、血圧・血糖管理
尿酸値 高値 痛風・腎障害 生活指導、必要時に治療
尿潜血 陽性(1+など) 結石・膀胱炎、まれに泌尿器の病気 尿沈渣で再確認、必要時に紹介

特に見落とされやすいのが、肝機能の軽い異常と、尿蛋白・eGFRといった腎臓のサインです。いずれも自覚症状が出にくく、「軽い異常だから」と流されがちですが、静かに進行することがあります。

血圧・血糖・コレステロール・尿酸の「数値別の目安」や治療の考え方については、高血圧糖尿病脂質異常症高尿酸血症・痛風 の各ページでも詳しく解説しています。

数字で見る、足立区の健診 — 当院の独自分析から

当院では、公開された健診データ(NDBオープンデータ、足立区のデータヘルス計画など)を独自に分析し、足立区の健康診断に関する傾向をまとめました。そこから見えてきた、足立区にお住まいの方に知っておいてほしいことを、いくつかご紹介します。

意外に思われるかもしれませんが、検査値の「異常」そのものが足立区で突出して多いわけではありません。血圧やLDLコレステロール、HbA1c(血糖)の異常割合は、全国平均とほぼ同じか、むしろ低いくらいです。

ただし、すべての項目が低いわけではありません。肝機能(AST・ALT・γ-GT)と尿検査(尿蛋白・尿糖)は、全国平均よりやや高く、東京都内の医療圏の中では最も高い水準にあります。下の表は、足立区を含む「区東北部」(足立・荒川・葛飾)の特定健診結果を、全国・東京都内と比べたものです。

検査項目 異常とされる目安 区東北部 全国平均 東京都内での高さ
尿蛋白 (+)以上 3.6% 3.2% 都内で最も高い
尿糖 (+)以上 4.9% 4.4% 都内で最も高い
肝機能 ALT 51以上 6.2% 5.9% 都内で2番目
肝機能 γ-GT 101以上 6.5% 5.8% 都内で3番目
肝機能 AST 51以上 2.7% 2.3% 都内で2番目
中性脂肪 300以上 3.3% 3.0% 都内で2番目
空腹時血糖 126以上 6.3% 5.9% 都内で2番目
血圧(収縮期) 140以上 17.0% 18.1% 全国平均より低い
LDLコレステロール 140以上 28.2% 28.3% 全国平均並み
HbA1c(血糖) 6.5%以上 7.3% 7.2% 全国平均並み

※足立区単独の集計は公開されていないため、足立区を含む「区東北部」医療圏(足立・荒川・葛飾)の値です。全保険者・40〜74歳、厚生労働省NDBオープンデータ第10回(令和5年度)より集計。「東京都内での高さ」は都内13医療圏での順位。

つまり足立区(を含む地域)は、肝臓・腎臓・尿のサインがやや出やすい一方、血圧や血糖そのものの異常は全国並みです。そして足立区で本当に目立つのは、「異常の多さ」でも「受診率の低さ」でもなく(どちらも全国並みでした)、見つかった異常を治療につなげ、続けていく“その後”の弱さでした。

  • 健診を受ける人の割合(特定健診受診率)は約41%です。これは市町村国保の全国平均(約4割)とほぼ同じで、足立区だけが特に低いわけではありません。ただ、会社の健診がある現役世代と違い、国民健康保険では全国的に受診率が低く、国が目標とする60%には届いていません。特に40〜50歳代は20〜30%台で、受けていない方が多いほど、隠れた異常も見つからないままになります。
  • 健診で明らかな高血糖(HbA1c 8.0以上)と判定された方のうち、約3割が血糖の治療を受けていないことが、区の分析で示されています。中には、いったん始めた治療を中断したと思われる方もいます。
  • 足立区では、毎年200名を超える方が新たに人工透析を始めています。その原因のおよそ4割は糖尿病性の腎臓病です。これも、糖尿病を早く見つけて治療を続けていれば、進行を遅らせられたかもしれない病気です。

これらは、「足立区が特別に不健康だ」という話ではありません。重要なのは健診で見つかった小さな異常を、放置せず次の一歩につなげることです。その積み重ねが、地域全体の健康を左右している、ということです。

(出典:当院院長による集計・分析。掲載元 moritas.org。元データは厚生労働省NDBオープンデータ第10回、足立区第3期データヘルス計画。)

見落とされやすい項目①:尿潜血・尿蛋白

健診の尿検査で「尿潜血1+」「尿蛋白1+」と出ても、「1+くらいなら大丈夫」と放置されがちです。

尿潜血の背景には、結石や膀胱炎といったよくあるものから、まれに泌尿器の病気が隠れていることもあります。尿蛋白が続く場合は、慢性腎臓病(CKD)の入り口であることがあります。腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、機能がかなり低下するまで自覚症状が出ません。しかし、慢性腎臓病の治療は近年大きく進歩しています。糖尿病の薬であるSGLT2阻害薬や、新しいタイプの降圧薬である非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)など、腎臓を守る働きをもつお薬が登場しており、適切に治療することで、腎機能が低下するスピードを抑えられる可能性があります。

先ほどの表のとおり、足立区を含む区東北部では、尿蛋白・尿糖の異常割合が東京都内で最も高い水準にあります。尿の異常は、腎臓や血糖の隠れた変化を映していることがあり、「1+だから」と見送らないことが大切です。足立区では新規に人工透析を始める方が毎年200名を超え、その約4割は糖尿病性の腎臓病です。尿のサインは、その入り口を早く知らせてくれるものでもあります。

内科では、まず尿沈渣(顕微鏡で赤血球などを確認)や採血で腎機能を評価し、高血圧・糖尿病といった背景がないかを調べます。必要に応じて、泌尿器科や腎臓内科への紹介状をお書きします。適切な道筋をつけるのが内科の役割です。

見落とされやすい項目②:肝機能の軽い異常

ALT・AST・γ-GTPといった肝機能の数値が少し高い——これも放置されやすい代表です。背景には脂肪肝、飲酒、ときに肝炎などがあり、軽い異常から始まって少しずつ進むことがあります。

脂肪肝も、放置すると肝臓がんにつながることがある一方で、減量などで改善が期待できることも多く、適切な治療・フォローが大切な病気です。

先ほどの表のとおり、足立区を含む区東北部では、ALT・γ-GT・ASTといった肝機能の異常を指摘される割合が全国平均よりやや高く、東京都内では2〜3番目の高さです。「軽い異常」のうちに背景を確かめておく意味があります。

内科では、採血の再評価や腹部超音波で、原因の見当をつけていきます。特に脂肪肝などは生活習慣の調整で改善することが多く、早く気づくほど対応の選択肢が広がります。

見落とされやすい項目③:高い血糖値

区の分析によると、健診で明らかな高血糖(HbA1c 8.0以上)と判定された方のうち、約3割が治療を受けていません。糖尿病は、はじめのうちは症状がありません。しかし放置すると、視力低下や神経障害などの症状が起こり、さらには腎機能の低下や心筋梗塞など、命に関わる合併症につながることがあります。

詳しくは糖尿病のページでもご説明していますが、大切なのは、早く見つけて治療を続けることです。近年は体への負担が少ない治療の選択肢も増えており、早く始めて続けるほど、合併症のリスクを抑えやすくなります。当院では、健診で血糖の異常を指摘された方の再検査から、その後の継続的なフォローまで一緒に行っています。

西新井内科クリニックでの再検査・精密検査の流れ

「健診で要再検査と言われたが、どうすればいいか分からない」という方へ。当院での流れをご案内します。

  • 健診結果を持ってご来院ください(他院の結果でも可)
    結果用紙の現物、または写真・データをお持ちください。お薬手帳や、過去数年分の健診結果があれば、より正確に評価できます。
  • 当院は足立区の特定健診の実施機関です
    40〜74歳の特定健診を行っており、健診後のフォロー(再検査・精密検査)も続けて診ることができます。
  • 必要に応じて専門の医療機関と連携します
    循環器内科・腎臓内科・消化器内科・泌尿器科など各種専門機関への紹介状を作成し、その後の経過も一緒に見ていきます。
  • 通院が難しい方には訪問診療も可能です
    ご自宅で療養中の方にも、訪問診療で対応しています。

受診の流れと予約

  • 持参するとスムーズなもの:健診結果用紙(写真可)、お薬手帳、過去の健診結果
  • ご予約Web予約お電話で受け付けています。

よくあるご質問

Q. 健診結果を2〜3年放置してしまいました。今からでも遅くないですか?

遅すぎるということはありません。むしろ、今の状態を知ることが次の一歩になります。これまでの結果があればお持ちください。

Q. 他の医療機関で受けた健診結果でも見てもらえますか?

はい、他院・職場の健診結果でも結構です。

Q. B判定(軽度異常)でも受診したほうがよいですか?

気になる項目があれば、ご相談いただいて構いません。経過観察でよいか、再検査がよいかも含めてお話しします。

Q. 平日は休めません。受診できますか?

土曜日も受診可能です。診療時間をご確認のうえご利用ください。Web予約が便利です。

Q. 健診で初めて高血圧と言われました。薬が必要ですか?

必ずしもそうではありません。まず家庭での血圧や生活習慣を確認し、その方に合った進め方を一緒に考えます。

Q. 親の健診結果が気になりますが、本人が受診を嫌がります。

ご家族からのご相談も歓迎します。通院が難しい場合は訪問診療という選択肢もあります。

まとめ

「自覚症状がない」は、受診しない理由にはなりません。健診は、症状が出る前に体の変化を見つけるためのものです。

足立区のデータが教えてくれるのは、「異常かどうか」よりも、「せっかく検査を受けて見つかった異常を、放置しないこと」が大切だということです。

「要再検査」「要精密検査」と書かれていたら、まずは一度、健診結果を持って内科にご相談ください。

西新井内科クリニック(足立区西新井本町)

Web予約はこちら / お電話:03-3840-4146


著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状や検査結果がある場合は受診をご検討ください。

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