眠れないと睡眠時無呼吸

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眠れない人の約3割に睡眠時無呼吸 ― 内科でできる睡眠の検査

眠れないと睡眠時無呼吸

「寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」「寝ているはずなのに、昼間どうしようもなく眠い」。眠れないという悩みは、原因がひとつとは限りません。
意外に思われるかもしれませんが、「眠れない」と訴える方を調べると、その約3割に睡眠時無呼吸が見つかります。当院は内科のクリニックとして、この「体に原因がある不眠」を見つけることを、睡眠の診療の中心に置いています。

「眠れない」人の約3割に、睡眠時無呼吸が見つかります

不眠と睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)の関係を調べた37研究のメタ解析によると、不眠を訴える患者さんのうち、睡眠時無呼吸があった方は35%(AHI 5以上)、中等症以上に限っても29%でした。逆に、睡眠時無呼吸の患者さんの38%が不眠を訴えていました。
つまり、不眠と睡眠時無呼吸は「どちらか」ではなく、3人に1人くらいの割合で重なっているということです。
※ このデータは、両者が同時に存在する割合(合併率)を示したものです。睡眠時無呼吸が不眠の原因だと証明したものではありません。ただし、無呼吸のたびに脳が短く覚醒するため、中途覚醒や「眠りが浅い」という感覚につながることは、しくみの上でも説明がつきます。

なぜ、気づかれないまま何年も経つのか

睡眠時無呼吸は、ご本人にはほとんど自覚できません。いびきも、呼吸が止まっていることも、眠っている本人には分からないからです。
そのため、次のように受け止められたまま、検査にたどりつかないことがよくあります。
  • 「年をとって眠りが浅くなっただけ」
  • 「夜中にトイレで起きるから、眠れないのは仕方ない」――夜間頻尿は、無呼吸そのものが原因のことがあります
  • 「眠れないのはストレスのせい」
  • 「痩せていないから自分には関係ない」――アジア系の方は、あごが小さいなど骨格の影響が大きく、欧米の方に比べて肥満がなくても起こりやすいことが知られています
この場合、睡眠薬を飲んでも根本にある無呼吸は変わりません。
なお「睡眠薬は無呼吸を悪化させる」という説明を見かけることがありますが、現時点の研究をまとめると、睡眠薬が無呼吸の重症度(AHI)を悪化させたという明確な証拠はありません。ただし一部の薬と用量(ゾルピデム20mg、トリアゾラム0.25mg、フルラゼパム30mgなど)では、夜間の最低酸素飽和度が下がったという報告があり、睡眠時無呼吸のある方への処方には注意が必要とされています。いずれにせよ、無呼吸があるかどうかを先に調べておくことに意味があります。

こんな症状はありませんか

  • いびきを指摘されたことがある
  • 家族に「呼吸が止まっていた」と言われたことがある
  • 夜中に何度も目が覚める、トイレに起きる
  • 朝、頭が重い・口がからからに乾いている
  • しっかり寝たはずなのに、日中に強い眠気がある
  • 健診で血圧や血糖の高さを指摘されている
ひとつでも当てはまる方は、一度検査をおすすめします。日中の眠気は、エプワース眠気尺度(ESS)という8問の質問票で点数にできます(セルフチェックはこちら)。

当院で行う検査と治療

  • 問診――いつから、どんな眠れなさか、日中の眠気はどうか。
  • 血液検査――甲状腺機能、貧血、鉄、腎機能、血糖など。
  • ご自宅でできる簡易睡眠検査――機器をお貸しします。ご自宅で一晩お休みいただくだけで、入院は不要です。
  • CPAP治療――検査結果が基準を満たす場合、健康保険で治療を開始できます。

睡眠時無呼吸のほかにも、体に原因があることがあります

  • むずむず脚症候群――夕方から夜にかけて脚に不快な感覚が出て、寝つけない。鉄欠乏が背景にあることがあります。
  • 甲状腺機能亢進症――動悸、汗、体重減少とともに寝つきが悪くなります。採血で見当をつけられます。
  • 夜間頻尿――前立腺肥大、心不全、糖尿病などが背景にあることがあります。
  • 痛み・かゆみ――関節痛、逆流性食道炎、皮膚疾患など。
  • お薬やカフェイン、アルコールの影響――一部の降圧薬、ステロイド、気管支拡張薬など。寝酒は寝つきをよくする一方で、中途覚醒を増やします。
いずれも、採血と問診で見当をつけられるものです。当院ではこれらをまとめて確認します。

当院の不眠診療の範囲

当院が担当しているのは、ここまでにご説明した「体に原因がある不眠」を見つけて治療する部分です。一方で、次のご相談はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。
  • 他院で処方されている睡眠薬・抗不安薬の継続処方のみを目的としたご受診
  • うつ病、不安症など、精神科の病気が不眠の主な原因と考えられる場合の治療
  • 睡眠薬の減薬・断薬を主な目的としたご相談
体の検査で原因が見つからなかった場合、慢性的な不眠症の第一選択は認知行動療法(CBT-I)です。米国内科学会(ACP)も米国睡眠医学会(AASM)も、薬より先にCBT-Iを行うことを強く推奨しています。当院にはCBT-Iを実施できる体制がないため、その段階からは精神科・心療内科の受診をおすすめしています。
※ 検査の結果は書面でお渡しします。かかりつけの先生や、次に受診される医療機関にそのままお持ちいただけます。

よくあるご質問

Q. いびきは指摘されていませんが、検査を受けられますか?

受けられます。ひとり暮らしの方など、いびきを指摘される機会がない方は少なくありません。日中の眠気や夜間の頻尿があれば、検査を考える理由になります。

Q. 検査は入院が必要ですか?

まずはご自宅でできる簡易検査から始めます。結果によっては、より詳しい検査を行う医療機関をご紹介することがあります。

Q. 痩せていてもなるのですか?

なります。アジア系の方は、あごや上気道まわりの骨格が小さいことの影響が大きく、欧米の方に比べると、肥満がなくても起こりやすいことが知られています。

Q. 睡眠薬は出してもらえますか?

不眠そのものの治療を目的とした継続的な処方は行っておりません。内科の治療に必要な範囲で、期間を決めて使うことはあります。

Q. 他院でもらっている睡眠薬を、こちらで継続してもらえますか?

お受けしておりません。現在の処方元にご相談ください。なお、いびきや日中の眠気がある方は、当院で睡眠時無呼吸の検査だけを行い、結果を処方元にお返しすることはできます。

参考資料

  • Zhang Y, Ren R, Lei F, Zhou J, Zhang J, Wing YK, Sanford LD, Tang X. Worldwide and regional prevalence rates of co-occurrence of insomnia and insomnia symptoms with obstructive sleep apnea: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2019;45:1-17. PMID: 30844624
  • Mason M, Cates CJ, Smith I. Effects of opioid, hypnotic and sedating medications on sleep-disordered breathing in adults with obstructive sleep apnoea. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(7):CD011090. PMID: 26171909
  • Sutherland K, Lee RW, Cistulli PA. Obesity and craniofacial structure as risk factors for obstructive sleep apnoea: impact of ethnicity. Respirology. 2012;17(2):213-222. PMID: 21992683
  • Qaseem A, Kansagara D, Forciea MA, Cooke M, Denberg TD. Management of Chronic Insomnia Disorder in Adults: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians. Ann Intern Med. 2016;165(2):125-133. PMID: 27136449
  • Edinger JD, Arnedt JT, Bertisch SM, et al. Behavioral and psychological treatments for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. J Clin Sleep Med. 2021;17(2):255-262. PMID: 33164742
  • Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep. 1991;14(6):540-545. PMID: 1798888
  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

著者情報

西新井内科クリニック 院長 森田知宏 森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士
東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状や検査結果がある場合は受診をご検討ください。

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