じんましん(蕁麻疹)が続く方へ
じんましん(蕁麻疹)が続く方へ
「何か悪いものを食べたのだろうか」「アレルギー検査をすれば原因がわかるのではないか」——じんましん(蕁麻疹)が出ると、多くの方がそう考えます。確かに食べ物やお薬のアレルギーでじんましんが起こることはあります。しかし実際には、とくに長く続くじんましんの多くは、検査をしても原因を特定できません。
それでも悲観する必要はありません。じんましんの治療は近年大きく進歩し、今では多くの方で症状をしっかりコントロールできるようになっています。「皮膚の症状だから皮膚科?」と迷う方も多いのですが、じんましんは内科でもご相談いただける、ありふれた病気です。
この記事では、(1)じんましんとはどんな病気か、(2)急性と慢性の違い、(3)なぜ起こるのか、(4)原因と検査の考え方、(5)治療、(6)注意したい症状——を順にご説明します。
じんましん(蕁麻疹)は、皮膚に突然あらわれる赤い膨らみ(膨疹)と強いかゆみを特徴とする病気です。一生のうち約20%の人が一度は経験するとされ、決して珍しいものではありません。
次のような特徴があります。
唇やまぶたが腫れる「血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)」を伴うこともあります。
じんましんは、続く期間によって大きく2つに分けられます。
急性蕁麻疹は、発症から6週間未満のものです。多くは数日から数週間で自然に改善します。食べ物・お薬・感染症・虫刺されなど、原因が見つかることもあります。
慢性蕁麻疹は、6週間以上続くものです。ここで大切なのは、慢性蕁麻疹の8〜9割は原因を特定できないという点です。原因がはっきりしないタイプは「慢性特発性蕁麻疹(慢性自発性蕁麻疹)」と呼ばれ、これは慢性蕁麻疹で最も一般的なタイプです。「何か見落としている病気があるのでは」と不安になる方も多いのですが、原因不明であること自体は珍しいことではありません。
皮膚には肥満細胞(マスト細胞)という細胞があります。この細胞が刺激されると、ヒスタミンなどの物質が放出され、血管が広がって水分がにじみ出し、神経が刺激されます。その結果、赤み・腫れ・かゆみが生じます。
食べ物のアレルギーでは IgE という抗体が関わりますが、慢性蕁麻疹はIgEのアレルギーだけでは説明できません。近年では、自分の体の免疫が肥満細胞を刺激してしまう「自己免疫」の仕組みが関わっていることもわかってきています。
急性蕁麻疹では、原因を推定しやすいことがあります。
食べ物:食後数分〜2時間ほどで症状が出る場合は、食物アレルギーが疑われます。卵・牛乳・小麦・ナッツ・エビ・カニなどが代表的です。ただし、大人になって突然出たじんましんが、必ずしも食べ物のせいとは限りません。
感染症:実はとても重要な原因です。とくにお子さんでは、かぜなどのウイルス感染が急性蕁麻疹の大きな原因になります。大人でも、かぜ・胃腸炎・副鼻腔炎などの前後にじんましんが出ることがあります。
お薬:ペニシリン系の抗菌薬や、解熱鎮痛薬(ロキソプロフェンなどのNSAIDs)が代表的です。
物理的な刺激:圧迫・寒さ・暑さ・振動・発汗などで誘発されるタイプもあります。
慢性蕁麻疹の方から「アレルギー検査を全部やってほしい」とご希望をいただくことがあります。しかし慢性蕁麻疹では、広く検査をしても原因が見つからないことがほとんどです。
たとえばスギ花粉のIgEが陽性でも、それが今のじんましんの原因とは限りません。検査で陽性=原因、ではないのです。そのため近年のガイドラインでも、やみくもに広範囲の検査をすることは推奨されていません。
慢性蕁麻疹では、必要に応じて血液検査を行います。血算・CRP・赤沈、総IgE、甲状腺機能や抗甲状腺抗体などを調べ、感染症・自己免疫疾患・甲状腺の病気・血液の病気などが隠れていないかを確認(除外)します。
一方で、症状や診察から必要性が低いと判断される場合には、広範囲で高額な検査をむやみに行わないことも同じくらい大切です。
現在の標準治療は、第二世代の抗ヒスタミン薬です。代表的なお薬に、ビラノア(ビラスチン)・デザレックス(デスロラタジン)・アレグラ(フェキソフェナジン)・ザイザル(レボセチリジン)・クラリチン(ロラタジン)などがあります。昔の抗ヒスタミン薬に比べて眠気が少なく、長く続けやすいのが特徴です。
あまり知られていませんが、慢性蕁麻疹では抗ヒスタミン薬を標準量の最大4倍まで増やせることがガイドラインで認められています。標準量だけで十分に症状を抑えられる方は半数に満たないとされており、「薬が効かないから治らない」のではなく「治療がまだ十分でない」だけ、という場合が少なくありません。増量は自己判断ではなく、医師と相談しながら調整します。
症状が非常に強いときに、短期間だけステロイドの内服を行うことはありますが、長く使う治療ではありません。あくまで一時的な補助と考えてください。当院では、抗ヒスタミン薬を増量しても抑えきれず、ステロイドが繰り返し必要になるような場合には、後述のゾレアなども含めて、皮膚科・専門医療機関への紹介をご案内します。
抗ヒスタミン薬を十分に使っても改善しない場合には、ゾレア(オマリズマブ)という注射のお薬があります。IgEを標的とする抗体製剤で、治りにくい慢性蕁麻疹に対する効果が確かめられており、近年のじんましん治療における大きな進歩のひとつです。以前は治療に難渋していた方でも、症状が大きく改善することがあります。
蕁麻疹では通常、ゾレア300mgを4週間に1回、皮下注射します。保険が適用され、薬剤費(薬価)はおよそ月4万円で、3割負担の方ではそのうち1万円強が自己負担の目安です(診察料などは別途。薬価は改定で変わります)。当院ではゾレアによる治療を行う医療機関へご紹介します。詳しい情報はメーカーの患者さん向けサイト(ゾレア・慢性蕁麻疹のご案内)も参考になります。
慢性蕁麻疹では、睡眠不足・疲労・ストレス・解熱鎮痛薬(NSAIDs)・熱いお風呂・締めつけの強い衣服などが悪化のきっかけになることがあります。原因探しに集中するよりも、こうした悪化因子を避けるほうが症状の安定につながる場合もあります。
次の症状があるときは注意が必要です。
これらはアナフィラキシーの可能性があり、救急受診が必要です。また、発疹が24時間以上消えない・跡(色素沈着)が残る・発熱や関節痛を伴う場合は、「蕁麻疹様血管炎」など別の病気の可能性があり、受診をおすすめします。
慢性蕁麻疹は、多くの方で数か月から数年のうちに自然に軽快していきます。期間には個人差がありますが、治療の目標は「少し我慢できる状態」ではなく、症状がほとんど出ない状態です。適切な治療を続けることで、多くの方が日常生活に支障のない状態まで改善できます。
西新井内科クリニックでは、急性・慢性のじんましんについて、診察、必要な血液検査、抗ヒスタミン薬の選択と増量の調整までを行います。そのうえで、抗ヒスタミン薬を増量しても抑えきれない難治のケースは、ゾレアなどの治療が可能な皮膚科・専門医療機関へご紹介します。
「何週間もじんましんが続いている」「薬を飲んでも改善しない」「アレルギー検査が必要か知りたい」という方は、どうぞご相談ください。
じんましんでお困りの方へ ― 西新井内科クリニック(足立区西新井本町)。Web予約はこちら、またはお電話(03-3840-4146)でご予約ください。午後は比較的予約が取りやすくなっています。
内科・皮膚科のどちらでも構いません。内科では、原因が隠れていないかを確認する血液検査や、抗ヒスタミン薬の選択・増量の調整ができます。抗ヒスタミン薬を増やしても抑えきれない難治のケースは、ゾレアなどの治療が可能な皮膚科・専門医療機関へご紹介します。
急性のじんましんでは、食べ物やお薬が原因として見つかることがあります。一方、慢性のじんましんでは、広く検査をしても原因が見つからないことがほとんどです。検査で何かが陽性でも、それが今のじんましんの原因とは限りません。
食後数分〜2時間ほどで出る場合は、食物アレルギーが疑われます。ただし、長く続く慢性のじんましんの多くは、食べ物とは関係がありません。
軽い急性のじんましんなら、市販の抗ヒスタミン薬で和らぐこともあります。数日たっても治らない、何度も繰り返す、6週間以上続くといった場合は、一度受診をご検討ください。
睡眠不足・疲労・ストレスは悪化のきっかけになることがあります。熱いお風呂や締めつけの強い衣服、解熱鎮痛薬(NSAIDs)も悪化因子になることがあります。
慢性蕁麻疹では、抗ヒスタミン薬を標準量の最大4倍まで増やせることがあります。お薬の種類を変えることもあります。それでも抑えきれない場合はゾレアなどの選択肢があります。自己判断で中断せず、ご相談ください。
多くの方で、数か月から数年のうちに自然に軽快していきます。治療の目標は、症状がほとんど出ない状態です。適切な治療で、日常生活に支障のない状態を目指せます。
本記事は、以下のガイドラインおよび臨床研究にもとづいて作成しています。
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は受診をご検討ください。最終更新:2026年6月。記載の薬剤名・用量・費用等は変更される場合があります。
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