家庭血圧の正しい測り方―朝と夜、いつ・何回測ればいい?血圧計の選び方と目標値
家庭血圧の正しい測り方―朝と夜、いつ・何回測ればいい?血圧計の選び方と目標値
「健康診断や病院の診察室で測ると血圧が高いのに、自宅で測ると正常」
「家で測ると、朝だけいつも150を超えていて不安になる」
「血圧計を買ったけれど、いつ、何回測るのが正しいのかよくわからない」
高血圧を指摘された方や治療中の方から、このようなご相談を毎日のようにいただきます。
現在、高血圧の診療ガイドラインでは、病院でたまに測る「診察室血圧」よりも、ご自宅で毎日リラックスして測定する「家庭血圧」のほうが、将来の脳卒中や心筋梗塞のリスクをはるかに正確に予測できることが証明されています。
しかし、測定するタイミングや姿勢、血圧計の種類が不適切だと、せっかくの記録が不正確になってしまいます。
この記事では、日本高血圧学会の指針に基づき、血圧計の選び方、朝・夜の正しい測定タイミング、回数のルール、そして降圧目標値についてわかりやすく解説します。
普段の生活環境で測る家庭血圧が重視されるのには、医学的に大きな理由があります。
病院の診察室や健診会場では、「緊張」によって一時的に血圧が跳ね上がってしまう方がいらっしゃいます。これを「白衣高血圧(はくいこうけつあつ)」と呼びます。家庭血圧を測ることで、「本当は普段正常なのに、不要な強い降圧薬を処方されてしまう」ことを防げます。
逆に、昼間の診察室では正常値なのに、早朝や夜間、仕事中などに自宅で血圧が高くなっている状態を「仮面高血圧(かめんこうけつあつ)」と呼びます。特に起床時に急激に血圧が上がる「早朝高血圧」は、朝方の心筋梗塞や脳梗塞の大きな引き金になります。これは家庭血圧を測らなければ絶対に見つけられません。
家庭用血圧計には、大きく分けて「上腕式(二の腕に巻くタイプ)」と「手首式」があります。
日本高血圧学会のガイドラインでは、原則として「上腕式」を使用することが強く推奨されています。
| タイプ | 特徴とメリット | 注意点・デメリット |
|---|---|---|
| 上腕式(推奨) (カフを腕に巻くタイプ) |
・測定精度が最も高く安定している ・カフが自然と心臓の高さに近くなる ・医療機関の基準と一致する |
・手首式に比べて本体がやや大きい |
| 手首式 | ・小型で持ち運びに便利 ・装着が手軽 |
・手首の高さが心臓より上下するだけで十数mmHgの誤差が出る ・腱や骨の影響で測定値がブレやすい |
これから血圧計を購入される方は、必ず「上腕式」をお選びください。
家庭血圧は、毎日同じ条件・同じタイミングで測ることが何よりも大切です。「朝」と「夜」の1日2回測定します。
朝は、以下の条件をすべて満たしたタイミングで測定します。
※起きてすぐにバタバタ動いたり、朝食を食べたりコーヒーを飲んだりした後は血圧が変動しますので避けてください。
1回の測定機会につき、「原則として2回測定」します。
座ったばかりの1回目は緊張や動作の影響で高めに出ることがよくあります。2回測ることでより安定した正確な血圧を把握できます。
診察室で測る血圧と、自宅で測る家庭血圧では、基準値が異なります。家庭血圧はリラックスしているため、診察室より「5 mmHg」厳しく設定されています。
| 区分 | 診察室血圧 | 家庭血圧(自宅) |
|---|---|---|
| 高血圧の基準 | 140 / 90 mmHg 以上 | 135 / 85 mmHg 以上 |
| 降圧目標値 (年齢によらず、75歳以上を含む) |
130 / 80 mmHg 未満 | 125 / 75 mmHg 未満 |
家庭血圧で上が135以上、または下が85以上が続く場合は高血圧と判定されます。
なお、降圧目標は2025年8月に改訂された『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』で変更されました。以前のガイドライン(JSH2019)では「75歳未満は130/80未満、75歳以上は140/90未満」と年齢で分けていましたが、JSH2025では年齢による区分が廃止され、75歳以上の方も含めて診察室血圧130/80 mmHg未満・家庭血圧125/75 mmHg未満に統一されました。
ただし「下げればよい」というものではありません。ふらつきや立ちくらみ、腎機能の悪化などが起きていないかを確認しながら、お一人おひとりの状態に合わせて調整していきます。
血圧は気温(寒い冬に高くなる)、睡眠不足、ストレス、便秘、塩分の多い食事、前日の飲酒などによって日々波のように変動しています。
「今朝160もあったから、昨日の余った薬をもう1錠飲もう」
「今朝は115で低かったから、今日の薬を飲むのをやめよう」
といった自己判断によるお薬の増減や中断は極めて危険です。急激な血圧低下によるふらつき・転倒や、逆に薬が切れたことによるリバウンド高血圧を引き起こします。
1回きりの数値に一喜一憂するのではなく、「1〜2週間の血圧の平均的なトレンド」を診察室で医師と一緒に確認することが大切です。
「健診で血圧が高めと言われた」「家庭血圧手帳をつけてみたけれど、治療が必要なレベルか相談したい」という方は、ぜひ測定記録をお持ちの上ご受診ください。
当院では、紙の手帳への手書き記録はもちろん、スマホアプリや血圧計の測定画面を直接お見せいただいても構いません。生活習慣の改善(減塩、運動、減量など)と適切な治療を組み合わせ、無理のない血圧コントロールをサポートします。
基本的にはどちらの腕で測っても構いませんが、初めて測るときは左右両方の腕で測定してみてください。もし左右で5〜10 mmHg以上の差がある場合は、「常に数値が高いほうの腕」で測り続けるのが原則です。左右差がほとんどない場合は、巻きやすい側の腕(右利きなら左腕など)で固定して測定してください。
人間の血圧は、心臓の拍動1回ごとに常に変化しています。深呼吸を1回しただけでも5〜10 mmHg程度は簡単に変動します。機器の故障ではなく生理的な自然な反応ですので、深く気に病まずに「2回測ってその平均をとる」ようにしてください。
市販の大学ノートやメモ帳に「日付・朝の血圧(脈拍)・夜の血圧(脈拍)」を箇条書きでメモしていただくだけで十分です。また、最近の血圧計にはBluetoothで自動的にスマートフォンのヘルスケアアプリ等に記録できる便利な機種もありますので、診察時にスマホ画面をご提示いただいても全く問題ありません。
健診の数値が気になる方へ
当院では、健診で指摘された数値の再検査から、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの治療までを行っています。健診結果票をお持ちください。
![]() |
森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。気になる症状や検査結果がある場合は受診をご検討ください。最終更新:2026年9月。記載の制度・費用等は変更される場合があります。
TOP