血圧は140/90未満なら大丈夫? 最新研究から考える本当の血圧目標
血圧は140/90未満なら大丈夫? 最新研究から考える本当の血圧目標
健康診断で「血圧が138/88 mmHgでした。140未満だから大丈夫ですよね?」「病院では145と言われるけれど、家では125だから様子を見ていい?」「75歳を過ぎたら血圧は140〜150くらいでいいと聞きましたが本当ですか?」――診察室では、血圧の目標値についてこうしたご質問を日常的にいただきます。
結論からお伝えすると、「140/90 mmHg未満だからといって、それだけで安心」とは言えません。
血圧には「高血圧と診断する基準値(診断閾値)」と「心筋梗塞や脳卒中を防ぐために目指すべき値(治療目標値)」があり、この2つは明確に異なります。2025年に改訂された日本高血圧学会の最新ガイドライン(JSH2025)では、成人の基本目標が原則として「診察室血圧で130/80 mmHg未満、家庭血圧で125/75 mmHg未満」に統一されました。
本記事では、なぜ130未満(家庭125未満)を目指すのか、高齢者や糖尿病のある方ではどこまで下げるべきなのかについて、世界的な臨床試験(SPRINT、STEP、ACCORD-BP、BPROAD)の原著論文データに基づき、分かりやすく解説します。
家庭血圧・診察室(健診)の血圧と病歴を入力すると、基本の目標(診察室130/80 mmHg未満・家庭125/75 mmHg未満)に届いているか、より強く下げる相談の余地や、下げすぎの心配がないかを確認できます。診断や処方を決めるものではありません。入力した値はこの画面の中だけで計算し、保存・送信はしません。目標の考え方の根拠は、この下の本文で解説しています。
まず最初にお伝えしたいのは、「140/90 mmHg」という数値は「ここまでは完全に安全」という安全圏の境界線ではないということです。
血管に対する圧力の負荷は、140 mmHgを超えて急に始まるわけではありません。日本の追跡研究では、高血圧の範囲だけでなく正常域でも、おおむね115/75 mmHg付近から血圧が高いほど脳卒中や虚血性心疾患による死亡のリスクが高くなっていました[6]。
ただし、「数字を無理やりにでも下げさえすればよい」わけでもありません。過度な降圧によるふらつき、立ちくらみ、腎機能悪化といった「忍容性(治療に無理なく耐えられるか)」を医師が丁寧に評価しながら、安全に目標達成を目指すことが極めて重要です。
| 対象・状態 | 診察室血圧目標 | 家庭血圧目標 | 考え方と留意点 |
|---|---|---|---|
| 原則(全成人) | 130/80 未満 | 125/75 未満 | JSH2025の基本目標。脳・心・腎を守るための標準的な目標です。 |
| 高リスク+忍容性良好 | 収縮期<120 個別検討 | 家庭血圧での目安は確立していません | SPRINTやBPROADの対象に近い方で個別判断します(当院の考え方で、JSH2025の推奨目標ではありません。JSH2025は収縮期120未満への降圧では過降圧に注意するよう求めています)。 |
| フレイル・低血圧症状あり | 個別設定(安全優先) | 個別設定(安全優先) | 転倒、骨折、急性腎障害の防止を最優先し、緩やかに管理します。 |
2025年に改訂された日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」において、臨床上最も大きな転換点となったのが「目標血圧の原則一本化」です。
従来のガイドライン(JSH2019)では、75歳以上の高齢者や特定の脳血管障害、蛋白尿のない慢性腎臓病を持つ患者さんについて、診察室血圧で「140/90 mmHg未満(家庭135/85 mmHg未満)」と、若年〜中年層より一段緩やかな目標が設定されていました。
しかしJSH2025の作成にあたって行われた系統的レビュー・メタ解析では、75歳以上の高血圧でも、収縮期130 mmHg未満を目標とした降圧はより高い目標と比べて心血管イベントを有意に減らしていました。これを受けてJSH2025では、年齢だけを理由にした目標の自動的な緩和をやめ、年齢・病態・併存疾患にかかわらず「診察室 130/80 mmHg未満、家庭 125/75 mmHg未満」を原則とする方針へと整理されました[6]。ただし75歳以上(および機能低下のある65〜74歳)では、日常生活動作(ADL)や通院の状況に応じて目標を個別に設定する目安も示されています(後述)。
ここで注意したいのは、「血圧の分類」と「治療の目標」の混同です。
高血圧の治療において、薬を使って全員を120未満(正常血圧の域)まで無理に押し下げようとすると、過降圧によるめまいや腎機能障害のリスクが高まる場合があります。JSH2025も、収縮期血圧を120 mmHg未満まで下げた場合は過降圧による有害事象に注意するよう求めています[6]。
「血圧を140未満で止めるのではなく、もっと下げるべきか」という議論に大きな影響を与えたのが、2015年に米国で発表された臨床試験「SPRINT(スプリント)」です[1]。
SPRINT試験は、収縮期血圧130〜180 mmHgで心血管リスクの高い50歳以上の9,361人を対象に行われました。
追跡期間の中央値3.26年の時点で、結果は次のとおりでした。
主要評価項目の中間解析結果が事前に定めた基準を超えたため、データ安全性監視委員会の勧告により、降圧介入は予定(平均5年の追跡)より早く終了しました。
一方で、SPRINT試験は強化降圧の「代償」も示しました。重篤な有害事象全体(38.3% vs 37.1%)には有意差がありませんでしたが、標準治療群と比較して、強化治療群では以下の重篤な有害事象が多くみられました(強化群 vs 標準群)。
なお、外傷を伴う転倒には両群で差がありませんでした。
SPRINT試験の結果を解釈する際、極めて重要な注意点があります。それは「血圧の測り方」です。
SPRINT試験では、座位で5分間静かに安静にした後、自動血圧計(AOBP)で3回測定した平均値をもとに治療を調整しました。測定中にスタッフが同席するかどうかはプロトコルで定められておらず、施設によって「患者さんが常に一人」「スタッフが常に同席」などさまざまでしたが、どの方式でも到達血圧や強化降圧の効果はおおむね同様だったと報告されています[7]。
JSH2025も、日常診療ではこのような標準化された測定が行われていないことが多いと指摘しています[6]。測定条件が異なれば値も変わるため、SPRINTの「収縮期120未満」という数値を、日常の診察室血圧や家庭血圧の値にそのまま当てはめることはできません。
「SPRINTの結果は分かったが、高齢者の血圧を130未満まで下げたら、脳の血流が足りなくなって認知症が進んだり、ふらついて転倒・骨折するのではないか」――こうした懸念に対して、アジア人の高齢者を対象に直接の答えを出したのが、2021年に報告された中国の「STEP試験」です[2]。
STEP試験は、60〜80歳の中国人高血圧患者8,511人を対象とした大規模ランダム化比較試験です。
結果として、強化降圧群では主要心血管複合エンドポイント(脳卒中、急性冠症候群、非代償性心不全、冠動脈血行再建術、心房細動、心血管死)が相対的に26%有意に減少しました(発生割合 3.5% vs 4.6%、ハザード比 0.74、95%信頼区間 0.60〜0.92、p=0.007)。個別のアウトカムでは、脳卒中(ハザード比 0.67)、急性冠症候群(0.67)、急性非代償性心不全(0.27、ただしイベント数が少なく95%信頼区間 0.08〜0.98と幅が広い)で強化群が少なく、冠動脈血行再建術・心房細動・心血管死では有意差はありませんでした。
気になる安全性ですが、論文の要旨では、安全性と腎機能に関する評価項目は両群間で有意差がなく、低血圧のみ強化群で多かったと報告されています。
ただし、STEP試験の結果をすべての高齢者に無条件で当てはめることはできません。この試験の対象は60〜80歳で、80歳を超える方は含まれていません。また、脳卒中の既往がある方や認知機能障害のある方は対象から除外されており、臨床試験に通院して参加できる方が対象でした。要介護状態の方や高度なフレイルのある方での効果と安全性は、この試験では確かめられていません。そうした方々にまで画一的に130未満を求めると、脱水や転倒骨折といったリスクを招くおそれがあるため、個別の慎重な判断が必要です。
糖尿病をお持ちの患者さんでは動脈硬化の進展が早いため、血圧管理は極めて重要です。しかし、「糖尿病患者の血圧を120未満まで下げるべきか」という問いには、長年エビデンスのねじれが存在していました。
2010年に発表された「ACCORD-BP試験」では、心血管リスクの高い2型糖尿病患者4,733人を対象に、収縮期120未満を目指す強化群と、140未満を目指す標準群を比較しました[3]。
結果は、主要な心血管イベント(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、心血管死)の発生率に統計学的有意差が認められませんでした(年間1.87% vs 2.09%、ハザード比 0.88、95%信頼区間 0.73〜1.06、p=0.20)。事前に定めた副次評価項目である「脳卒中」は強化群で少なかった(年0.32% vs 0.53%、ハザード比 0.59、95%信頼区間 0.39〜0.89)ものの、これは多重比較を調整していない名目上の有意差です。また、降圧治療に起因すると判断された重篤な有害事象が強化群で有意に多くみられました(3.3% vs 1.3%、p<0.001)。
この結果もあり、糖尿病患者で120未満まで下げる意義については慎重な見方が続いていました(JSH2025でも、糖尿病を合併する高血圧の降圧目標は130/80未満です[6])。
この議論に新たなデータを加えたのが、2024年11月に*New England Journal of Medicine (NEJM)*にオンライン掲載された大規模試験「BPROAD試験」です[4]。
結果は、主要複合評価項目(非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞、治療または入院を要する心不全、心血管死)が、強化群で100人年あたり1.65件、標準群で100人年あたり2.09件となり(絶対差は100人年あたり0.44件)、強化降圧によって主要心血管イベントが相対的に21%有意に減少しました(ハザード比 0.79、95%信頼区間 0.69〜0.90、p<0.001)。
BPROAD試験における重篤な有害事象全体の発生頻度は両群で同等でしたが、症候性低血圧(自覚症状を伴う低血圧)および高カリウム血症は強化治療群で多くみられました。
この結果は、「心血管リスクが高い2型糖尿病患者において、適切な医学的管理下で収縮期120未満を目指すことは、心血管疾患の予防に上乗せ効果がある」ことを示しました。
ただし、これを「すべての糖尿病患者が一律に120未満を目指すべき」と一般化してはいけません。BPROAD試験は、臨床試験として定期的な受診と評価が行われる環境下で実施された試験です。自覚症状のない軽症の糖尿病患者さんや、受診間隔が空きがちな患者さんにおいて、お薬を何種類も重ねて機械的に120未満を追い求めることは、過降圧や電解質異常のリスクを招くため推奨されません。
SPRINT、STEP、BPROADという大規模臨床試験が、いずれも強化降圧(SPRINT・BPROADは収縮期120未満、STEPは110〜130未満を目標)の優位性を示しました。
「それなら、ガイドラインの目標も全員120未満にすればよいのではないか?」と思われるかもしれません。しかし、ランダム化比較試験(RCT)の結果と、公的なガイドラインの推奨は明確に区別して考える必要があります。
日本のJSH2025は、基本目標を「120未満」ではなく「130/80未満(家庭125/75未満)」とし、120未満まで下げた場合は有害事象に特に注意するよう求めています[6]。当院では、一律に120未満を目指さない理由を次のように考えています。
西新井内科クリニックでは、以下のように整理して患者さんと目標を相談しています。
血圧について語るとき、必ず話題にのぼるのが「血圧を下げすぎるとかえって寿命が縮むのではないか」という「Jカーブ現象(J-curve phenomenon)」です。
心臓自身を栄養する血管(冠動脈)、特に左心室の筋肉を養う血流は、心臓が収縮している間は筋肉に押されて流れにくく、心臓が拡張して緩む拡張期(下の血圧のタイミング)に主に流れ込みます。
そのため、「拡張期血圧(下の血圧)が過度に低下すると、冠動脈の血流が不足して狭心症や心筋梗塞のリスクが高まるのではないか」という生理学的な懸念が古くから指摘されてきました。
確かに、一般住民や患者さんを対象とした過去の観察研究では、「血圧が低すぎるグループ(例: 収縮期110未満、拡張期60未満)で心筋梗塞や死亡のリスクが上昇する(J字型のカーブを描く)」というデータが度々報告されてきました。
しかし、この現象の少なくとも一部は「逆の因果関係(Reverse Causality)」による見かけ上のものである可能性が指摘されています。JSH2025も、到達血圧が低いほど死亡などが多かったという後ろ向き解析の結果について、因果が逆である可能性に言及しています[6]。
つまり、「薬で血圧を下げすぎたから病気になった」のではなく、「もともと重症の心不全、進行がん、重度の栄養失調、あるいは終末期の衰弱(フレイル)があるために、血圧が自然に下がってしまっていた」患者さんが低血圧グループに含まれていたため、統計上、死亡率が高く見えていた可能性があるのです。
ランダム化比較試験48件・約34万人の個人データを統合したBPLTTCのメタ解析では、治療前の収縮期血圧が120 mmHg未満の層を含め、降圧治療による心血管イベントの相対的な減少効果に血圧の層による明らかな違いはみられませんでした[5]。ただし、これは主に収縮期血圧についての知見であり、個々の患者さんで下げすぎによる害が起こらないことを保証するものではありません。
高齢者では動脈の壁が硬くなる(動脈硬化が進む)ため、「上の血圧は140と高いのに、下の血圧は55と低い」という脈圧の開大がよく見られます。
このとき、「下の血圧が60未満だから」という理由だけで機械的に降圧薬を減らしてしまうと、上の血圧が再び上昇し、脳卒中や心不全などのリスクを高めるおそれがあります。
当院では、「拡張期血圧(下の血圧)の数値単独で自動的に減薬することはしない」という方針をとっています。大切なのは数字だけを見るのではなく、以下のような「自覚症状(症候性低血圧のサイン)」の有無を丁寧に確認することです。
こうした症状や異常がなく、元気に日常生活を送られているのであれば、当院では上の血圧の適正管理を優先して治療を継続することを基本としています。
血圧の目標を語る上で、絶対に避けて通れないのが「診察室血圧と家庭血圧の違い」です。
診察室で測る血圧は、移動の疲れや「白衣を見た緊張」によって一時的に跳ね上がりやすく、たった1〜2回の測定値でその方の普段の血圧を正確に把握することは困難です。大迫研究をはじめ多くの研究で、家庭血圧は診察室血圧よりも将来の脳心血管病をよく予測することが報告されており、JSH2025は診察室血圧と家庭血圧で診断が食い違う場合には家庭血圧による診断を優先するとしています[6]。
西新井内科クリニックでは、臨床研究の結果と患者さん一人ひとりの生活背景を組み合わせ、以下のステップで血圧目標を設定しています。
すべての成人患者さんにおいて、まずは「診察室血圧 130/80 mmHg未満、家庭血圧 125/75 mmHg未満」を基本目標とします。生活習慣の改善(減塩、運動、体重管理、節酒)を土台とし、必要に応じて科学的根拠に基づいた降圧薬を適切に選択します。
冠動脈疾患の既往、CKD、高リスク糖尿病などがあり、忍容性が良好で自覚症状のない患者さんについては、SPRINTやBPROADのエビデンスを踏まえ、患者さんと丁寧に対話した上で収縮期血圧 120 mmHg未満を目指す強化治療を個別にご提案します(家庭血圧での対応する目安は確立していません)。その際は、定期的な採血によるeGFR(腎機能)やカリウム値のモニタリングを徹底します。
75歳以上のご高齢の方であっても、元気に自立して暮らしておられる方には原則通りの目標(<130/80、家庭<125/75)を目指します。一方で、起立性低血圧の症状がある方、認知機能の低下やフレイルが疑われる方、多くの薬を服用されている方(ポリファーマシー)においては、「転倒しないこと」「元気に日常生活を続けられること」を最優先とし、目標の個別設定や薬剤の減量を柔軟に行います。JSH2025は75歳以上(および機能低下のある65〜74歳)について、通院に介助を要する方では収縮期140 mmHg未満、通院が難しく基本的な日常生活動作も低下している方では収縮期150 mmHg未満を目安とし、いずれも合併症などに応じて個別に設定するとしています[6]。
「実年齢という数字だけで治療を一律に決めない」というのが、当院の一貫した診療姿勢です。
血圧の管理目標・健診異常のご相談
「健診で血圧高めと言われた」「家庭血圧を測り始めたけれど目標が分からない」「現在の薬で下げすぎていないか心配」など、日々の血圧記録をお持ちの上でお気軽にご相談ください。
ご自身の状態に合わせた目標血圧の目安を整理しました。主治医と治療方針を確認する際の参考にしてください。
| あなたの状態・背景 | 家庭血圧の目標目安 | 診察室血圧の目安 | 受診時のポイント |
|---|---|---|---|
| 一般的な成人・若年〜中年期 (特段の重篤な合併症なし) |
125/75 未満 | 130/80 未満 | 減塩・運動指導とともに、早期から血管を守る標準管理を行います。 |
| 元気で自立している高齢者 (65〜75歳以上、活動的) |
125/75 未満 | 130/80 未満 | 年齢だけで緩和せず、ふらつきの有無を確認しながら段階的に降圧します。 |
| 糖尿病・CKD(蛋白尿あり) (心血管リスク高値) |
125/75 未満 | 130/80 未満 (忍容性良好なら収縮期<120も検討) |
病態に応じて臓器保護作用のある薬剤(RAS阻害薬・SGLT2阻害薬等)を選択します。 |
| 虚弱・フレイル・低血圧症状あり (要介護、立ちくらみ、転倒歴) |
個別設定 (症状に応じ個別に設定) |
個別設定 (JSH2025では75歳以上で通院に介助を要する方は収縮期<140、通院困難な方は収縮期<150が目安) |
過降圧の害を避けるため、減薬を含めて慎重にコントロールします。 |
140/90 mmHg未満であれば「高血圧」とは診断されませんが、JSH2025の分類では「高値血圧」(130〜139/80〜89 mmHg)にあたり、正常血圧(120/80未満)ではありません。特に血管を守るための治療目標(診察室<130/80、家庭<125/75)から見ると高めの状態です。まずは減塩や運動などの生活習慣改善を始め、上腕式の家庭血圧計で毎日の数値を把握することをおすすめします。
ふらつき、立ちくらみ、めまい、日中の強い倦怠感などの症状がなく、お元気にお過ごしであれば、125 mmHg前後まで下がっていても問題ありません。近年の臨床研究(60〜80歳を対象としたSTEP試験など)でも、自立した高齢者で収縮期血圧130未満を目標とした治療により、脳卒中などを含む心血管イベントが減ったことが示されています。ただし、立ち上がり時のふらつきや腎機能の悪化がある場合は、速やかに主治医にご相談ください。
動脈硬化が進むと血管の弾力性が失われ、上と下の血圧の差(脈圧)が広がり、下の血圧だけが低くなることがよくあります。立ちくらみや強いだるさ、胸の圧迫感などの自覚症状がなければ、下の血圧が60未満であっても自動的に減薬する必要はありません。薬を勝手に減らすと上の血圧が上がり、脳卒中などのリスクが高まるおそれがあるため、必ず主治医に症状を伝えてご相談ください。
「白衣高血圧」(治療中の方では「白衣効果」)の可能性があります。将来の脳卒中や心筋梗塞のリスクは、診察室血圧より「正しく測定された家庭血圧」の方がよく反映することが多くの研究で示されています。病院の数値だけで強いお薬を処方されると過降圧になる危険があるため、朝夕の家庭血圧の記録(血圧手帳やスマートフォンアプリ画面)を診察時にご持参いただき、主治医にお見せください。
血圧の目標を一緒に確認したい方へ
家庭血圧の記録(できれば1〜2週間分)とお薬手帳をお持ちください。立ちくらみなどの体調もうかがいながら、無理のない目標と治療を一緒に決めていきます。
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森田 知宏(もりた・ともひろ)/ 西新井内科クリニック 院長 医師・医学博士 東京大学医学部卒業。一般内科・訪問診療を担当。 科学的根拠(エビデンス)にもとづく診療を心がけています。 ▶ 院長の経歴・研究業績を見る |
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診療判断に代わるものではありません。自己判断で薬を増やしたり、減らしたり、やめたりせず、気になる検査結果がある場合は受診をご検討ください。
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